沼津市立静浦小中一貫学校(大川裕司校長)には、公立の小中学校としては珍しく、専任の司書教諭がいる。小谷田照代教諭は開校以来、専任の司書教諭として、教科横断型の授業の実践や、発達段階に合わせた読書活動などに取り組んできた。学校全体のカリキュラム・マネジメントに司書教諭が深く関わることが教職員の共通理解に役立ち、子供たちの学びを支える学校図書館活用に結びついている。
静浦小中一貫学校は2014年に開校した。県内公立の小中一貫校としては、初の新築の施設一体型となっている。各学年を初志部(1~4年)、立志部(5~7年)、大志部(8、9年)としており、3年生以上は基本的に教科担任制をとっている。
学校図書館は校舎の中央に設計された。2・3・4階の3フロアで展開、どのフロアからも学校図書館にアクセスでき、館内に階段もある。蔵書数は約2万冊。小学生向け、中学生向けとされる本が合わせて蔵書となるため、6、7年生頃の児童生徒も利用しやすく、調べ学習で活用できる資料の幅も広がり、教職員からも好評という。
小谷田教諭は公立の小中学校としては珍しい、担任を持たない専任の司書教諭として勤務している(今年度からは立志部長も兼務)。同校は義務教育学校でない小中一貫校のため、教職員定数の算定により、級外(担任を持たない)の教員を計2名配置できる。そこで、専任の司書教諭1名を配置した。
開校以来、小谷田教諭は、朝読書で学校図書館を積極的に利用すること、「読書ノート」を発達段階に合わせて活用する読書指導、全学年・全教科での学校図書館の活用など様々な取組に尽力してきた。
普段は、主に3~9年生の「総合的な学習の時間」で、学級担任とTTで授業を実践している。担任をもたないため、他の教員は気軽に司書教諭に相談しながら単元の構想を練ったり、授業で使える図書資料の情報を得たりしやすい、などのメリットがある。
教科担任制ということもあり、同校では定期的にカリキュラム・マネジメント会議(以降、カリマネ会議)を実施。これにより、それまであまり図書資料を活用していなかった場合でも、多くの教員が「教科の中でどのように図書を活かすか、見通しを持つことができる」と小谷田教諭は話す。
教科同士のつながりを持った授業を展開するために始まった同校のカリマネ会議は4年前にスタート。昨年度からは図書館活用も重要なテーマとして取り上げ、教員とともに、司書教諭と学校司書が図書館の本を使った授業展開について話し合うようにした。特に「情報センター」としての活用については、9年間の学習内容を確認し、単元名やキーワードから「本」というツールが使われそうな単元を探していった。「カリマネ会議を行うことで、教員の共通理解が進む」。
今年度はこれまでに、4、6、7月にカリマネ会議を行った。7月の夏期休業中に実施した際は、1学期の授業を振り返った。国語の「神話」の単元構想として、ブックトークを授業のはじめに実施するか、終わりにするかを検討する、といった教材研究につながったという。
同校ではカリマネ会議が学校図書館活用の校内研修の役割も果たしており、学校図書館を授業にどう活かすかを、教職員同士で学ぶ場にもなっている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年8月19日号掲載