学校図書館実践活動研究会(森田盛行代表)の主催する第1回「学校図書館実践フォーラム」が6月24日、都内で開催された。学校図書館の活用により、授業の改善が図られたり、より質の高い学びの実践ができる。文部科学省はじめ様々な立場から講演・発表が行われた。
教員や保護者、地域社会へ学校図書館への理解を促進するための方策を考えることがフォーラムの目的。全国から司書教諭、学校司書、図書館関係者が参加した。
大妻女子大学・樺山敏郎准教授と、文部科学省初等中等教育局児童生徒課課長補佐の田島博樹氏がそれぞれ講演を行い、学校の中での組織的な学校図書館運営や、新学習指導要領の中での学校図書館の重要性などを解説した。
また小学校国語、中学校、自治体、と3つの立場からの実践発表が行われた。
テーマは「小学校国語科でできる図書館活用授業」。愛知県公立小中学校の学校図書館担当者へのアンケート調査では、「学校図書館活用を学習に取り入れたいが「いつ」「何を」「どのようにすればよいか」わからない、といった結果が出た。
そこで国語科の教科書から、各単元に見られる情報活用スキルを抽出し、一覧にした=(下表)。
5年「和の文化について調べよう」を実践した担任からは「この単元が、情報活用能力を育成する単元であるという理解はなかった。これほど情報スキルが教科書にあることも驚きだ」といった声があったという。
「学校全体で情報活用教育を計画的に進めるには?」と題し、自身の30年間の取組について発表した。中学校で学校図書館を活用する場合、「教科の壁」があり、なかなか取組を進めにくいという。H中学校では、年度初めに各教員にアンケートを実施、それをもとに年間計画表を作成するなどの取組によって、学校図書館活用が定着していった。
司書教諭が他校へ異動した後も学校図書館を柱とした情報活用教育が継続されるためには、「形を残していくことが大切と実感した」と佐藤氏。情報カードや参考資料リスト、レポートの書き方見本を図書館の机に常置し、いつでも誰でも、どの教科でも使えるようにした。さらに教員用のPCの中にそれらの書式を保存。「図書館利用連絡会」などの組織体制も整えた。H中では同氏が異動した後も各教科で学校図書館を活用し、レポートの書式なども利用されている。
テーマは「学校図書館支援活動から見えてきたこと~SLS10年間の活動を振り返って~」。藤田氏は公立小学校の司書教諭を経て、平成19年から3つの教育委員会に所属し、100校を超える学校図書館の支援活動に携わった。
荒川区は平成19年度に全校に学校司書を配置。学校図書館支援センターを設置し、学校司書研修会を充実させている。司書教諭との連携に力を入れており、先進的な取組が現在も行われている。
大和市は26年度までに全28校の学校図書館をリニューアル。29、30年度に実施している図書館活用についての研修会は、全校を対象として進められている。
江戸川区は23年に文部科学省「教育課程特例校」の指定を受け、「読書科」を実施。今年3月には読書科指導指針を改定した。その目的は「生涯にわたって主体的に学び続ける資質・能力の育成」を目標により具体的な内容を提示することだ。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年7月23日号掲載