お母さんを亡くしたひとりぼっちの白いペンギンの「ぼく」は、他の子と違う色の自分、他の子のように走れない自分がとても嫌いだった。そんなとき、夢に出てきたお母さんの「しろいのもすてきなのよ。ゆきのなかでかくれんぼがいちばんになれるでしょう」といった言葉によって、「ぼく」は自分の良いところを発見していく。やがて「ぼく」は起き上がり、自らの夢を探す旅に出る。
絵本「ぼくは ちいさくて しろい」は、優しい色合いの絵と、お母さんペンギンが語りかける形で、子供にもそのメッセージが分かりやすく伝わる。平成30・31年度版の小学校1年生の道徳の教科書「いきるちから」(日本文教出版)に収録。4頁のダイジェスト版となっており、「ぼく」と「お母さん」の対話を通じて、児童が「じぶんのよいところ」を考える。
一度は絶版となった本書だが、今年3月にリニューアル版が出版された。著者の和田裕美氏の、亡き母の教えが詰まっているという。「すべての子どもたちに、自分だけのいいところを見つけてもらい、自信を持って一歩踏み出して欲しい」と制作の思いを語る。
和田氏は、失敗や挫折といった一見ネガティブな事柄を、気づきや学びとして自分の力にするという思考パターン「陽転思考」を提唱している。同氏は外資系教育会社で、世界142か国中、第2位の営業成績を収めた経歴を持っており、その原動力となったのが、「陽転思考」だという。
この思考法をトレーニングによって誰でも楽しみながら身に付けられるのが「人生よかったカルタ」だ。子供用と大人用の2種類がある。「みんなの前で怒られてよかった」「苦手な食べ物があってよかった」など、絵札には「よくない出来事」が描かれている。取った人は「なぜよかったのか?」と良かった理由を探して答える。
実際にこのカルタを使って道徳の授業を行った小学校では、子供たちから「やる気が出た」「自分が好きになった」といった声があった。子供用は税別1500円、通信販売(wadahiromi.com/shop)で扱っている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年4月23日号掲載