回答者:杉本洋(山梨県笛吹市立一宮西小学校司書教諭)
司書教諭の仕事を考える際に頭に入れておかなければならないことは、学校図書館について述べられている現行の法律では、「これが司書教諭の仕事です」という明確な規定はなされていないということです。学校図書館法に「学校図書館の専門的職務を掌らせる」という記述があるのみで、具体的な仕事には触れられていません。
これは地域、学校の実情により、司書教諭の職務というものの理解に大きな差異があることが理由の一つではないかと考えられます。例えば学校司書がいる学校といない学校では、自ずと司書教諭の職務は異なってきます。つまり一概に「司書教諭の仕事」というものを示すことが難しいのです。そこで地域、学校の実態に合わせて、臨機応変に考えていくことが重要になるのですが、その際、司書教諭は「教諭」であるということを忘れてはいけないと考えています。
教諭であるからこそできること、それは児童、生徒への直接的な学習指導です。このことを念頭に置きながら職務を考えていくことが最低限必要となるはずです。全校の学習内容を理解した上で、学校図書館を活用した授業を校内全体に提案し、啓発していくということを意識した活動ができたなら、司書教諭の存在意義は今後ますます高まっていくのではないかと考えます。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2012年7月16日号掲載