学校ネットワーク自治体ピッチでは14の通信事業者等がそれぞれ12分間で自社のインターネット回線サービス製品について説明。各社のプレゼンテーションから要点を紹介する。
なお、推奨帯域は、子供の端末から速度測定サイトにアクセスすることで簡易的に計測できる。無線APの規格や設定により低く出る場合があるがその場合は学校の入り口部分に端末を接続して測定する。推奨帯域は必要条件の1つ。体感調査と合わせて行う必要がある。
デジタル庁・文科省の説明詳細:教育DXサービスマップに「通信分野」を追加――学校ネットワーク自治体ピッチ
日本初の商用ISPであるIIJ(インターネットイニシアティブ)は、学校向けに1Gbpsおよび10Gbpsのギャランティ型インターネットサービスを紹介。全14事業者の中でギャランティ型のみの製品PRは同社のみ。
インターネットトラフィックが年率20~30%増のペースで伸びており、数年後には学校の通信需要も倍増が見込まれると指摘。
現状では「必要十分」とされているベストエフォート1Gbpsでは不十分になることを見越し、帯域が確保できるギャランティ型が重要になるとした。
回線アクセスに東海コミュニケーションズの光ファイバーを採用しつつ、インターネット上流部分は自社大容量バックボーンを用いて安定性・低遅延を担保。比較的高価と言われるギャランティ型のプランを月額9万8000円~14万8000円程度で導入することができる。
固定グローバルIPアドレスを最大6個まで割り当てられることから、セッション数も十分確保でき、大規模校でも数千台の同時接続が可能。契約や保守サポートはIIJが一元的に行うため、導入後の問合せ先が1本化される点もメリットとした。
NTT西日本は富山・岐阜・静岡以西30府県でフレッツ光を提供し、学校のローカルブレイクアウト回線でも多数の導入実績がある。
今回紹介したのは「フレッツ光クロス ファミリータイプ」(最大10Gベストエフォート)と「フレッツ光ネクスト ファミリースーパーハイスピードタイプ隼」(最大1Gベストエフォート)。
前者は一部エリアのみ対応だが、実測で下り5Gbps超の例もあり、2100人規模校の推奨帯域を満たす。
故障時のサポート体制として、夜間や休日も含めオンサイト拠点を260か所以上設置。通常保守は9~17時だが、オフィスタイプなら7~22時もしくは24時間365日に拡張可能。「学びを止めない」環境を整えられる。参考価格はフレッツ光クロスが月額1万数千円~、ネクストが数千円~。
ISPは別契約だが自由度があるため、自治体ニーズや地域事情に応じて提案することができる。
NTT東日本は17都道県(関東~東北)を対象にインターネット接続サービス「フレッツ光」を展開。GIGAスクール構想ではローカルブレイクアウト回線として多数導入実績がある。
そうしたノウハウをもとに学校向けに10Gbpsベストエフォート「フレッツ光クロス オフィスタイプ」や最大1Gbpsの「フレッツ光ネクスト ビジネスタイプ」など複数プランを提示。実測値では10Gメニューにおいて約5・5Gbps(下り)を連続して計測した事例がある。本実測値は2100人規模の推奨帯域を超えると考えられるという。
学校現場で求められている故障対応の迅速さについて、同社では24時間365日の保守受付や、オンサイト拠点約260か所を構えており、夜間や早朝でも現地訪問や機器交換が可能。加えてオフィスタイプであれば受付時間外のトラブルにも対応する拡張サポートが可能だ。同社のサービスではISPは別契約となるが、自治体ニーズに合った多くの選択肢から最適なものを選べる点がメリットであるとした。
IT商社の大塚商会は、自社で光回線を持たず、マルチキャリアのサービスを再販方式で取り扱うため、学校現場の実情に合った回線を複数社から提案できるのが強み。
さらにネットワーク機器やインフラ構築、ワンストップ保守も可能で、事業者が異なる回線とISPを連携させる際にも開通管理を一本化できる点がメリット。
取り扱い可能である主な回線としては、ギャランティ型「UCOM光ファストギガビットアクセスプレミアム」、ベストエフォート型「同スタンダード」「スイートイーサ」「NUROアクセス」「たよれーる光クロス」など。
それぞれについて、推奨学校規模を紹介。費用目安も提示し、大塚商会が間に入り最適な組み合わせを提案する形だ。たとえばNURO10Gなら月2・8万円程度、光クロスなら5000円~など多様であるため、まずは相談してほしいと話した。自治体向けにクラウド監視とアドバイザリーサービスも準備。
オンラインで登壇した同社は岡山市を中心に「oniビジョン」の名称でケーブルテレビ事業・インターネットサービスを展開する地域系通信事業者。学校向けの光専用線インターネット「専有型」およびベストエフォート「光ビジネスコース」を岡山市(一部エリアを除く)に提供している。
専有型については最大1Gbpsの回線を用意。月額3~6万円台を想定し、より高速な10Gbps以上も個別相談可能とした。さらにゲートウェイも専用型のため、他ユーザーの混雑の影響を受けにくいという。
光ビジネスコースでは最大2・5Gbpsプランや1Gbpsプランを用意。月額1~4万円程度とリーズナブル。ISPも自社で運営しているため、何か問題が起きた際にワンストップで対応可能。ただし引き込み工事費は場所によって差があるため別途見積もりが必要。校内LANを含めて現地で設定・トラブルシュートに動ける地域性が強みだとアピールした。