2024年度補正予算及び25年度予算案におけるICT分野の各施策とその詳細について、文科省、経産省、総務省、デジタル庁の担当者がオンラインで説明を行った。本説明会は1月29日、JAPET&CEC及びICTCONECT21会員に対して開催されたもの。そのうちデジタル庁の予算内容を紹介する。
デジタル庁は新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型)(以下、新地方創生交付金)と教育データ利活用に関する実証研究ついて説明した。
新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型)(新地方創生交付金)は、昨年度まで実施されていた通称・デジ田交付金(デジタル田園都市国家構想交付金)の後継にあたるもの。
デジ田交付金と同様、補正予算による措置で、デジタルを活用した地方の課題解決や魅力向上に向けて、事業の立ち上げに必要な経費を単年度に限り支援。地方公共団体の自主性と総意工夫に基づいた地方創生に資する取組を後押しする予算だ。主に学校・教育分野での活用が想定されるものについて説明した。
第1回締切は2月上旬に終了しているが、2次公募の実施が見込まれている。事業費総額1000億円。
いずれもコンソーシアムを形成する等、地域内外の関係者と連携し、事業を実効的・継続的に推進するための体制を確立する必要がある。
優良な先行事例を自分の自治体や学校に横展開する取組。事業費上限1億円。
申請要件はサービスを地域・暮らしに実装することで地域住民に直接貢献できる内容。例えば校務支援システムのみだと地域住民サービスの対象とはならず保護者向け連絡システムとセットとすることが必要。
優良モデル導入支援型では、ニーズが高いと考えられるサービスについて記載された「モデル仕様書」に準拠した場合、加点されるという特徴がある(満点100のうち5点)。21モデルあり、教育関連では授業支援システム、AIドリルなど。新規で、高等学校入学者選抜手続き、公共施設等スマートロックが追加された。
モデル仕様書の詳細:デジタル地方創生サービスカタログ(2024年冬版)
新規追加(デジ田交付金には該当なし)。AIやブロックチェーンなど新たなデジタル技術を共同利用する取組すなわちデジタル公共財及びこれからデジタル公共財になり得るものを共同調達で賄う。データ連携基盤、デジタル認証アプリ、AIを先行的に活用するサービスなどを想定。事業費上限4億円。
出典:地方創生 新しい地方経済・生活環境創生交付金制度概要(https://www.chisou.go.jp/sousei/about/mirai/policy/policy1.html)
自治体間をまたいだ教育データ連携に向けた調査研究事業として次の3つを実施。
高校入試システムを各自治体が実装することを目指し、高校入試において、Saas等を組み合わせて、必要な事務手続きをデジタル上で完結できるか否かについて、受験後のプロセスも含めて実証。実証自治体2件程度。
多様なコンテンツ間の相互運用性を確保する学習指導要領コードの普及・活用に向けたユースケースを整理・検討。事業者1件。
教育データ利活用ロードマップの改訂に向けた検討と調査研究。
教育家庭新聞マルチメディア号 2025年3月3日号掲載