2024年度補正予算及び25年度予算案におけるICT分野の各施策とその詳細について、文科省、経産省、総務省、デジタル庁の担当者がオンラインで説明を行った。本説明会は1月29日、JAPET&CEC及びICTCONECT21会員に対して開催されたもの。そのうち文科省の予算内容を紹介する。
GIGAスクール構想・学校DXの推進に関する予算の総額(補正・本予算)は284億円。
学校のネットワークの改善即ち「当面の推奨帯域を満たすなど必要なネットワーク・無線LAN整備いずれも100%」を実現するための予算を補助(1/3)。対象は次。
※インターネットの接続費用等については「学校のICT環境整備3か年計画」に基づき、毎年度地方財政措置を講じている。
※校内ネットワーク環境整備工事(大規模改修)に対する費用(幼・小・中・特支)は「学校施設環境改善交付金」で補助(原則1/3)。事業費上限400万円/校。地方負担分については地方債も可能。ただし支援対象はネットワークアセスメント実施済校のみ。
クラウドベースでアクセス制御等を前提としたセキュアな環境整備に向けた初期費用を補助(1/3)。都道府県域での共同調達が前提。事業費上限1校680万円/校
帳票統一や実態調査、ロードマップ策定、REF作成等、右記の準備にかかる経費を補助(1/3)。事業費上限5000万円/都道府県
ネットワーク構築・改善やICT活用指導力向上に向けた教員支援、校務支援、教育情報セキュリティポリシーの策定・改訂、共同調達支援、セキュリティリスクアセスメント支援などを有識者や事業者に依頼する際のコンサル予算を補助(1/3)。事業費上限20万円/校。2025年度より、学校DX戦略アドバイザーに対する交通費・謝金等実費も含む(後述)。
本事業指定校において個別最適な学び、協働的な学びの一体的な充実に資する好事例を創出。補正予算事業のため2024年度内に公募予定。
事業は継続するが全額国費補助の枠組みが変更。
2025年度から謝金・旅費などの実費等は自治体負担となり、かつ地方財政措置の対象(参照・学校DXのための基盤構築)となる。
「情報モラルポータルサイト」を充実。動画やeラーニング教材、啓発資料や事例を掲載する。情報モラル教育指導者セミナーも開催。生成AI活用やファクトチェックなど児童生徒が自ら考え解決できる力の育成を目指す。
小5、中2、高2を対象にした情報活用能力について2024年度の調査結果の報告書を作成。次回調査に向けた新規問題も開発。
継続・拡大。メニューは次の3つ。▼生成AIパイロット校(教育利用及び校務利用) ▼ダッシュボード等の連携も含めたセキュアな環境における生成AIの校務利用 ▼外国籍児童や不登校など特定課題の解決に向けた生成AIの実証
生成AIパイロット校については2025年度予算のため4~5月頃に公募予定。後者2事業は補正予算のため年度内に公募を開始する。
2025年度中に更新されるであろう端末数が約7割見込みとして計上済であるが、都道府県ヒアリングから8割弱の自治体の更新が見込まれることから、追加計上。
先端技術や教育データ利活用推進のための実証事業及び調査研究を実施。
2025年度から「デジタル活用推進事業債(仮称)」を創設。
デジタル活用による効率化の効果等を記載したデジタル活用推進計画に位置付けた自治体DXに関する事業が対象。
本予算では、対象事業のうち90%分において「地方債」を発行でき、償還対象である90%のうちの2分の1について地方財政措置を講じることができる(償還年度5年間)。単年度予算では総事業費の10%で整備を進めることができる仕組み。総事業費上限は1000億円。
教育関連では公共施設のネットワーク環境や大型提示装置、保護者連絡システムほか、住民サービスに貢献できるデジタルを活用した仕組みに利用できる。
出典:総務省 令和7年度地方財政対策の概要(https://www.soumu.go.jp/main_content/000984942.pdf)
対象となる主な整備内容についての詳細は以下のリンクから。
詳細:文部科学省「学校のICT環境整備3か年計画」策定 教員1人1台の業務用ディスプレイを積算
教育家庭新聞マルチメディア号 2025年3月3日号掲載