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教育ICT

全区立学校で探究「シブヤ未来科」 教育ダッシュボード活用の効果が見え始めた<渋谷区教育委員会・教育指導課 松村信之介統括指導主事・教育政策課 竹澤悠人教育ICT政策係長>

2025年2月4日

12月3日、東京都内で第116回教育委員会対象セミナーを開催。文科省の寺島史朗学校情報基盤・教材課長は第2期に向けた学校ネットワーク改善について講演。探究学習、ネットワーク統合、電子黒板や生成AIの授業活用の取組が報告された。


渋谷区教育委員会教育政策課 竹澤悠人教育ICT政策係長

渋谷区教育委員会教育指導課 松村信之介統括指導主事

渋谷区は探究×デジタル・テクノロジー融合の「未来の学校」プロジェクトを推進。松村統括指導主事と竹澤教育ICT政策係長が報告した。

◆・◇・◆

探究学習を軸にハードとソフトの両面から「未来の学校」プロジェクトに取り組んでいる。2024年2月に改訂した「渋谷区教育大綱」の理念「つくろう。ちがいを活かし合える、未来の学校。」を具現化する取組だ。

ハード面では小中学校22校の計画的な建て替えを実施。特徴の1つが校舎全体を新たな学びの場と捉えるラーニング・コモンズだ。学びやすい場所を自ら選択して学んだり、対話的な活動ができる空間を整備。実証として小学校3校に設置した際には、思い思いの場所で1人でじっくり学んだりグループで議論したり、すべての子供が学びに向かう姿が見られた。

ソフト面では全区立中学校にAI英会話アプリを導入。生徒からは発音や文法の誤りを客観的に把握して繰り返し練習することができると好評である。

全小中学校で探究「シブヤ未来科」

本プロジェクトの軸である探究「シブヤ未来科」は今年度、全区立小中学校でスタート。授業時数特例校制度により総合的な学習の時間を倍増し、原則午後の時間を探究の時間に設定した。

前期は探究基礎で各教科の見方・考え方を働かせ、学んだ知識・技能を使うことを意識しながら探究に必要なプロセスに関わる力を身につける。体験活動を通して疑問や発見を「問い」につなげる企業等体験も実施。企業連携の窓口はPTAの有志が立ち上げた一社・シブタンが担っている。複数企業の協賛の下、自走した団体だ。

後期は学校が定めた共通テーマの探究や、子供1人ひとりが問いを設定するMy探究の時間だ。個々の興味を自分なりの課題に落とし込むために教員が思考を促し、子供が問いを深める姿が見られるようになった。学校、行政、PTA、地域・企業と連携しながら「シブヤ未来科」を持続可能な学びとして進めていく。

ダッシュボードの効果 相談しやすい環境に

2022年度から教員向けダッシュボード、23年度から児童生徒向けダッシュボードを運用している。Microsoft Azureを基軸とした教育データ利活用基盤を構築し、蓄積したデータをPowerBIで可視化。集計等は不要で学校に新たな負担を生じさせない。

学校現場では様々な場面で教員向けダッシュボードが活用され、学校全体がチームとして子供たちを見守る体制もできた。学校生活アンケートでは、「学校に相談できる大人がいる」と回答する子供は着実に増加している。また、教員1人当たりのダッシュボード利用時間と「とてもそう思う」と回答する子供の割合は相関関係があり、ダッシュボードの活用は子供が大人に相談しやすい環境づくりに寄与している。活用の多い小学校3校では「学校に相談できる大人がいる」「学校で楽しく過ごしている」の2項目が他校と比較して大きく伸びた。

教育データ利活用のもう1つの取組がICTを活用したふり返りと認め合いの促進だ。子供たちは「HACHI」アプリ上に、自分で考えて学習計画を立てることができたか、友達の頑張りやいいなと思ったことなどを入力し、教員はコメントやスタンプで返信。児童生徒向けダッシュボードで自らの頑張りをふり返ることができ、自己肯定感を高めるねらいだ。

この取組は探究の質の向上にもつながると考えている。子供は自分の頑張りや取り組みたいことを言語化して自身の思考を整理し、教員は学びの様子や見通しを確認。教員の気づきを与える問いかけは子供たちの思考を促し、次への学習や探究の意欲を向上させることにもつながるだろう。

校務特化型の生成AI 職員が創意工夫して構築

生成AIの専用環境を構築して全教員向けに今年度から活用を開始した。Azure OpenAIと無償版のMicrosoft Copilotを利用しており、あらかじめシステムプロンプトを組み込んだ4つの校務特化型のAI(探究学習支援、トラブル対応、学年だより、アンケート分析)も展開。アンケートや研修データ、教員の要望を基に53種類のプロンプトも作成。これらの環境整備は既存のMicrosoft環境を使って職員が創意工夫して行っており追加の支出は行っていない。ガイドラインを策定し、多様な職層に向けて活用研修も行っている。

24年9月時点で約3割の教員が日常的に生成AIを使っており活用は継続して伸びている。1回の利用当たりの平均削減時間は学校だより作成約26分、探究指導案作成約36分、自由記述アンケート分析約31分と校務効率化に効果があった。

教育家庭新聞マルチメディア号 2025年2月3日号掲載

  1. 不具合の特定と通信契約の見直しを GIGA第2期に向け学校ネットワーク環境を改善<文部科学省学校情報基盤・教材課 寺島史朗課長>
  2. 全区立学校で探究「シブヤ未来科」 教育ダッシュボード活用の効果が見え始めた<渋谷区教育委員会教育指導課 松村信之介統括指導主事・教育政策課 竹澤悠人教育ICT政策係長>
  3. ネットワーク統合とフルクラウド化を実現 活用を見据え現場の声を反映する<坂戸市教育委員会学校教育課 菅裕太主任>
  4. 第2期整備開始 活用の軸は電子黒板 「誰でも簡単に使える」と教員の意識が変わる<市原市立国分寺台西小学校 生田勲校長>
  5. AIの特性を利用して学びを深める 段階的な研修で活用への不安を徹底的に解消<つくば市立みどりの学園義務教育学校 中村めぐみ教頭>
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最新号見本2025年01月30日更新
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