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教育ICT

不具合の特定と通信契約の見直しを GIGA第2期に向け学校ネットワーク環境を改善<文部科学省学校情報基盤・教材課 寺島史朗課長>

2025年2月4日

12月3日、東京都内で第116回教育委員会対象セミナーを開催。文科省の寺島史朗学校情報基盤・教材課長は第2期に向けた学校ネットワーク改善について講演。探究学習、ネットワーク統合、電子黒板や生成AIの授業活用の取組が報告された。


文部科学省学校情報基盤・教材課 寺島史朗課長

文部科学省学校情報基盤・教材課の寺島史朗課長はGIGA第2期のスタートに向け、今後の方向性について説明した。

◆・◇・◆

GIGAスクール構想が5年目を迎え、1人1台端末や学校ネットワーク環境などを前提とした学びの変革や学びの保障が進む一方で、地域・学校間の活用格差や学校ネットワーク環境の違いにより、学びの質の格差が生じている。

2025年度には多くの自治体で端末更新が始まる。着実な端末更新とともに、学校ネットワーク環境の改善も不可欠である。

児童生徒全員が同時に端末を使っても授業に支障がない水準=当面の推奨帯域を満たす学校は2割程度という調査結果が出ている。デジタル教科書等の日常活用が増え、全国学力・学習状況調査も25年度は中学校理科、27年度には小中学校ともに国語、算数・数学をCBTで行う予定だ。

今は支障がなくとも近いうちにネットワークが遅い・つながりにくいという状況に陥る可能性がある。

学校のネットワークがつながりにくい原因は学校内外に様々ある。不具合の原因特定のためのネットワークアセスメントとその結果を踏まえた機器等の取り換えのために、24年度補正予算で1校につき340万円を補助する。通常規模の学級のアクセスポイントをすべて入れ替えることを想定している。また400万円以上の大規模な工事が必要な場合は学校施設環境改善交付金で補助を行う。

通信契約の内容が十分でないことも大きな課題だ。約9割の学校で毎月の通信費は1万数千円程度であり、家庭の通信費と同程度しか措置されていない。また多くの学校が1Gbpsのベストエフォート型の契約だが、実行帯域は300Mbps程度で151人以上の規模の学校では推奨帯域を満たせる可能性は低い。1Gbpsのギャランティ型(帯域保証型)、もしくは10Gbpsのベストエフォート型の検討が必要だろう。1Gbpsのベストエフォート型を複数敷設するという工夫も考えられる。

通信費などの毎月生じるランニングコストについては学校のICT環境整備に関わる地方財政措置で、現状の通信費の5倍程度を想定して算定した。これを基に契約の見直しが望まれる。

2025年2月17・18日には、文科省・デジタル庁共催で「学校ネットワーク自治体ピッチ」をライブ・オンデマンド配信で開催する。ピッチでは通信事業者が学校向けの広帯域の通信サービスについて説明する。10Gbpsの新たなサービスや、どの地域で展開できるかなど学校ネットワーク環境改善に資する内容だ。また教育ICTサービスをとりまとめたカタログ情報を掲載する「教育DXサービスマップ」に通信分野を追加する予定だ。

校務DXも着実に推進

校務DXの推進では、現在使用している校務支援ステムをクラウドベースの次世代型校務支援システムにすることが求められる。都道府県域での共同調達を前提とした場合、次世代校務DX環境の構築や既存環境の設定変更に要する初期費用として1校あたり680万円を補助。また、次世代校務DX環境整備に向けた準備を進める費用として都道府県あたり5000万円を補助する。

学校や学校設置者の自己点検結果を基に校務DXチェックリストを公表。昨年度と比較して「児童生徒の欠席連絡などをクラウドサービスで集計している」「学校から保護者への配信物をクラウドサービスなどで一斉配信している」などの取組が着実に進んでいる。文科省のWebサイトには実際に取り組んだ学校の事例を紹介している。

端末活用で目指す学びを実現

リーディングDXスクールはGIGA端末の標準仕様とクラウド環境を活用して全国の学校が実践できる事例を創出する事業である。

動画等を活用し習熟度に合わせて自己調整しながら学ぶ個別最適な学びや、クラウドやChatを活用し他者を参照しながら学ぶ協働的な学びが進んでいる。Chatを禁止している学校や教育委員会は、ぜひ活用している学校の授業を見に行っていただきたい。授業に関係ないことを書いている子供はおらず、これまで授業に参加しにくかった子供ほど積極的に意見を発信している。

様々な学習形態が同時に進行する複線型の授業も多く見られるようになった。また理科の実験や体育の活動を動画に残し気づきを広げるなど、リアルな体験とデジタルを掛け合わせて深い学びにつなげている。

こうした学びになるほど専門職としての教員の役割が重要になる。クラウド環境により手元の端末でリアルタイムに全員の学習状況を把握し、個別に教員が介入しながらより丁寧な指導ができるようになった。

約9割の児童生徒が端末活用について「分からないことをすぐに調べることができる」「画像や動画、音声等を活用することで、学習内容がよく分かる」「友達と考えを共有したり比べたりしやすくなった」と肯定的に捉えている。

教育家庭新聞マルチメディア号 2025年2月3日号掲載

 

  1. 不具合の特定と通信契約の見直しを GIGA第2期に向け学校ネットワーク環境を改善<文部科学省学校情報基盤・教材課 寺島史朗課長>
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