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教育ICT

教員研修をバージョンアップ 電子黒板にフィルタリング機能を搭載<大分市教育センター情報教育担当班GL 上野真指導主事>

2025年2月4日

11月23日、鹿児島市内で第115回教育委員会対象セミナーを開催した。鹿児島市・大分市・西米良村・福岡市・熊本市の5つの教育委員会が登壇し、学習者主体の授業・教員研修、教育データ活用、GIGA第2期の環境整備などについて報告した。


大分市教育センター情報教育担当班GL 上野真指導主事

大分市教育センターの上野指導主事はGIGA第2期の端末更新と環境整備について報告した。

◆・◇・◆

2019年度に1万1000台のWindows端末を整備。21年度にGIGA第1期としてiPadを3万4000台整備した。現在は小学校低学年がWindows端末、小学校3年生から中学校3年生まではiPadを使用している。

今年度末でWindows端末が更新時期を迎えることから、すでにGIGA第2期の端末の調達を始めている。本市では、「操作が直感的」「動作の安定性」などの理由からアンケートで85%以上の教員がiPadを希望し、「全学年統一の端末を」という声もあったため、第10世代のiPadを9000台調達した。25年4月から運用を始める。26年度にさらにiPad3万4000台を、27年度に校務用PCを更新する予定で、あわせてゼロトラスト環境の構築を想定している。

端末の共同調達会議は「大分県ICT連絡協議会」で共通仕様書の内容などについて協議を実施。県と市の教育委員会間で密に連携がとれていたこと、既存の協議会などあるものを活用したことがスムーズに進んだ要因と考えている。

電子黒板を軸に環境整備

GIGA第2期に向けて電子黒板を軸にしたICT環境を整備した。電子黒板2509台をアクセスポイントがある教室に導入し、12月から順次、配備を行っている。

選定の際には、より安全に(Secure)・より快適に(Smooth)・より安価に(Saving)という3つの「S」を意識して、Chrome OS Flexを搭載したものを調達した。

フィルタリングソフトも併せて調達しているため安心して電子黒板から直接インターネット環境につなげることができる。現在は端末にのみフィルタリング機能が求められているが、将来的には電子黒板にも同様の対応が求められる可能性があると考えている。

電子黒板用アカウントを作成し、授業で使用するファイルを教員アカウントから共有する運用とすることで、電子黒板からの情報漏えいの防止を図っている。

教育センターから情報を一括配信することも可能である。管理コンソールで一括管理できるため遠隔でデータを消去することができ、電子黒板を処分する際のデータ消去作業がスムーズに行える点も導入理由の1つだ。

教室では、電子黒板に端末画面をミラーリングして活用しており、HDMIケーブルを利用しなくてすむようになることでケーブル類故障等の対応が不要になると考えている。授業での活用のほか、デジタルサイネージとしての活用や委員会活動での資料提示などを想定している。

授業ではGoogle for Education、校務ではMicrosoft Teamsを使いながら、電子黒板を軸にICT活用を推進していく。

校務DXについては校務DX化チェックリストの項目を基に図を作成し、出来ていること・出来ていないことを色分けして一目で分かるようにした。また採点した◯が自動的にエクセルに記入されるツールを導入するなど、教員の負担軽減を図っている。

第1期をふり返り第2期につなげる

GIGA第1期当初は、ICT活用に対する心理的なハードルを上げすぎないようにとの思いもあり、これまでの学びをデジタルに置き換えるデジタイゼーションが中心になった。そのため教員主導で端末を活用している現状もある。

そこで、今後の指針を示すために、SAMRモデルを基に導入期・成長期・成熟期からなるロードマップを2022年に作成した。「よい学び方を自ら獲得したい」という子供の自己決定・自己調整と、様々な人の方法を知って自らの学びをさらに良くする相互啓発、これらが相互に行き来する授業づくりに関する研修も行っている。

授業では一斉に端末を取り出し同じツールを使う必要はなく、様々な経験をする中で表現の幅を広げることが重要だ。紙で表現することが苦手でも、デジタルを使って自分の考えや思いを形にできる子供もいて、この経験はノートづくりにも生かされる。

端末を使うことだけが目的にならないよう、教員研修では情報活用能力の育成が求められている理由を考える機会を設けている。例示しているのはPISA調査だ。今後必要になるであろう能力を測る革新分野(2018年調査以降、日本は参加を見送り)も出題されており、2025年調査では「デジタル世界での学習」がテーマとされ、将来の仕事ではデジタルツールを使用して問題を解決することがますます必要になることが示されている。

初任者研修では学習者自身が活動する授業の演習を通して実感してもらう機会も設けた。自分の会社の電池をお店に売り込むという題材でデータを基にA社とB社に分かれてプレゼン。どのデータを使うかを自己決定し、グループで資料を作りプレゼンする活動を教員自身が体験した。

教員のICT活用指導力についても第1期をふり返る必要がある。教育情報化推進担当者研修を実施し、担当者が自校教員のICT活用指導力や、オンライン及び授業でのICT活用についてレーダーチャートを作成。これを踏まえ何ができるかを担当者とICT支援員がともに考え、集約したものを管理職に共有し、現状の見直しと校内研修に役立ててもらっている。

ハード面だけでなくソフト面も捉え直しながら、第2期を推進する方策を考え、取組を進めていきたい。

教育家庭新聞マルチメディア号 2025年2月3日号掲載

 

  1. 自由進度学習で学習者中心の学び ポイントは多様な方略を選ぶ余地と状況把握<鹿児島市教育委員会・木田博教育DX担当部長>
  2. 教員研修をバージョンアップ 電子黒板にフィルタリング機能を搭載<大分市教育センター情報教育担当班GL・上野真指導主事>
  3. 学校と家庭をつなぐコネクト学習 児童生徒用端末1人2台で複線型の学び<西米良村教育委員会・古川信夫教育長>
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