文部科学省は「GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト 学校・学校設置者の自己点検結果」を公開した。調査実施時期は2024年9月27~11月8日。文部科学省WEB調査システム‘EduSurvey’を用いて回答・集計した。調査対象は公立小中学校及びその設置者で9割以上の回答があった。本調査によると、効果実感が高かった校務DXは「教職員と保護者間の連絡のデジタル化」「教職員と児童生徒間の連絡等のデジタル化」「学校内の連絡のデジタル化」であった。
学校において2023年度と比較して特に取組が進んだ項目は次。▼児童生徒の欠席・遅刻・早退連絡についてクラウドサービスを用い、PC・モバイル端末等から受け付け、集計 ▼学校から保護者へ発信するお便り・配布物をクラウドサービスを用いて一斉配信
学校設置者においては次。▼教育委員会主催の研修アンケート等についてクラウドサービスを用いて実施・集計 ▼校務支援システムの導入または次期更改において、次世代型校務支援システムの導入を検討
これらは「完全にデジタル化している」もしくは「半分以上している」(もしくはこれらに相当)の回答割合が大幅に増加しており、かつ効果実感も高い傾向にある。
また、一定以上取り組んでいる学校の割合は比較的低いものの、取り組んだ学校において教職員の働き方の改善に対する効果実感が高かったものは次。▼保護者から学校への提出資料を、クラウドサービスを用いて受け付け ▼保護者との日程調整をクラウドサービスを用いて実施
文科省は本調査結果において「取組の進捗が見られた。『GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト』の大多数の項目は、標準的なGIGAスクール環境(児童生徒1人1台端末、教員1人1台端末、クラウド環境)の下で、必ずしも追加の有償ソフト等を導入せずとも実行可能なもの。各学校・学校設置者において、クラウド環境を活用した校務改善が積極的に行われたことの成果である」としている。
なおデジタル庁による「デジタル改革共創プラットフォーム」(地方公共団体と政府機関の職員であれば誰でも参加することができる、ビジネスチャットツールSlackを活用した直接対話型のコミュニケーションプラットフォーム)には、GIGAスクール構想に関するチャンネルがあり、疑問などを投稿できる。校務DXを進める上での疑問点等の解消に積極的に活用してほしいとしている。
文科省は教職員の働き方改革の加速に向けて、制度改正を検討している。働き方改革を見える化し、PDCAサイクルを構築するため、各教育委員会において、教員の業務量の適切な管理と健康・福祉を確保するための措置を実施するための計画の策定・公表、計画の実施状況を公表すること、本計画を総合教育会議に報告すること、学校運営に関する「基本的な方針」に、業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容を含めること、学校のマネジメント機能の強化に向けた「新たな職」の創設などを検討。
新たな職では学校内の多様なスタッフや、地域・関係機関など、学校内外との連携・調整に関する業務を担うこと、若手教員のサポートを担うことを想定している。
学級担任の職務の重要性と負担等に応じた加算も制度化する考えだ。
教育家庭新聞マルチメディア号 2025年2月3日号掲載