オンライン環境と現場体験を融合した通信制大学「ZEN大学」が2025年4月に開学する。
ネットの通信制高校(N高等学校・S高等学校)を運営する一社・ドワンゴと、若者支援に実績を持つ日本財団が提携して運営する。
1学年の入学定員は3500人。2024年12月18日、同学は出願者数が2000人を突破したことを発表した。系属校であるN高等学校・S高等学校の生徒の割合は全体の52%。専願率は90%と高い。
学部は「知能情報社会学部」のみ。学問領域を超えた6分野「数理」「情報」「文化・思想」「社会・ネットワーク」「経済・マーケット」「デジタル産業」から学ぶ。開設される講座は合計279科目で、興味のあるものを選択できる。大半の講座がオンデマンドとなっており、自分のペースで学ぶことができる。
教員と対話できるゼミ形式の講座も30科目を開設。学生が自らアウトプットできる環境も整えた。入学選考は志望理由・小論文。
必修科目の履修に必要となる基礎学力が不足している学生に対しては、補習授業やオンデマンド教材を提供して学びをサポート。授業料は38万円(1年間)。ZEN大学の系属高となるN高とS高の生徒は、入学検定料・入学金(合計6万6000円)が基本的に全額免除となる。
特徴的な講座として、「AI」「デジタル産業」「pixiv(ピクシブ)提携」がある。「AI」は、AI時代に生きるためのスキルを、理論から応用まで学び、ゲーム制作の基礎やデジタル産業の歴史なども学ぶ。「pixiv」は、イラスト、マンガ、小説の投稿SNSであるpixivで活動する人気クリエーターらによる講座で20科目を開講。学びと創作の場を創出する。
現場体験を通じて実際の社会が学べるよう、国内外における課外プログラムも重視。学生の経済的負担をできるだけ抑えて、中長期の課外プログラムに参加できるように日本財団がサポートするという。
日本財団の笹川順平専務理事は「社会に出る前の4年間、知識を得るだけでなく、その知識を応用して実際の社会で活かせるのか、自分は何に興味・関心があるのか、社会でどういう生き方をしていくのか、様々な準備をしてほしい」と話す。
ドワンゴ顧問の川上量生氏は「日本では所得が比較的多い世帯の子供は、実家から国立大学に通い、地方の所得が低い世帯の子供は、親元から離れ、仕送りをもらいながら私立大学に通うという、所得における逆格差が存在している。これが日本の大学進学率の低さの背景にある。本学はこうした格差を解決する可能性がある」と話した。
同学の若山正人学長は「学生の新しい可能性を引き出すため、これまで準備してきた。今後も学生たちの探究力を盛り上げる環境づくりに力を入れる」と語った。
(蓬田修一)
教育家庭新聞 2025年1月1日号掲載