11月1日、第114回教育委員会対象セミナーを大阪で開催。枚方市教育委員会は端末更新と生成AIの校務活用、摂津市教育委員会は大阪府の共同調達、佐用町教育委員会は校務・学習系ネットワーク統合、たつの市立龍野東中学校は授業DXと教育データ活用について報告した。
摂津市は大阪府域の共同調達で端末を更新。宗木指導主事が共同調達の現状と、GIGA第2期で目指す姿について報告した。
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大阪府の共同調達会議はOSごとの3部会を設置しており、本市の参加するiPad部会では先日、iPad第10世代を共同調達することが決定した。今後、購入とリースに分かれる予定だ。
端末本体の仕様は部門で共通とし、台数や納品場所、キッティング、MDM、キーボード等周辺機器などは市町村独自の仕様書を別紙で作成する。
本市の端末の故障データを見ると画面割れに次いで充電器の故障が多いため、予備機を補助上限である児童生徒数の15%調達し対応していく。
第1期の課題を踏まえ、これまでの様々なデータも活かしながら、教員が使いやすい環境を整えたいと考えている。
文科省は端末の活用場面ごとにKPIを示しており、GIGA第2期で目指す姿を示している。第2期では端末をただ使うのではなく、KPIに基づいて活用場面、活用目的を明確にして教員・子供と共有し、情報活用能力の育成を意識した授業づくりを目指す。
本市の場面ごとの端末活用状況は小中学校ともに調べる場面、発表・表現する場面の活用が80%を超え、KPIを達成している。
小学校は児童同士がやり取りをする場面の活用が40%と国が示す80%に比べて低く、iPadを活用した児童同士のコミュニケーションにはまだまだ課題がある。
中学校は理解度に合わせて課題に取り組む場面の活用が国の目標80%と比較して60%である。小学校も同様の結果だ。デジタルドリル等による個別最適化だけでなく、授業の中で理解度に合わせた活用場面を設定するための研究を進めているところである。
情報活用能力もKPIが示されている。9段階の各レベルに必要なスキルを教員が把握しやすいよう、情報活用能力調査を基にした体系表の見直しを検討している。
これからの社会を生きる子供たちに必要な21世紀型スキルを身につけることがGIGAスクール構想の目的の1つと考えている。そこで端末を活用したキャリア教育の充実とPBL型授業を計画的に行い、21世紀型スキルの育成、具体的にはコミュニケーション能力および課題発見・解決能力の向上を図る。
TIMSS調査(2019)によると日本の子供の算数・数学の学力は世界で上位に位置するものの「算数は楽しい」「日常生活に役立つ」「数学を使う職業に就きたい」割合は国際平均を下回り、学校の学びが社会や将来につながっていない現状がある。これを結びつけるためにもキャリア教育の充実が必要だと考えている。
キャリア教育は人間関係を形成する力や自己理解、自己管理能力などの「基礎的・汎用的能力」を育成するものである。
学校ではすでに様々な場面でキャリア教育が行われている。班活動や行事などの学級活動がキャリア教育の原点であり、日常の学校教育活動の中で力が身についていく。
本市はキャリア教育を応援する企業を募集して学校とマッチングする取組も実施。さらにキャリア教育を充実させ教育活動全体の中で取り組んでいきたいと考えている。
また、GIGA第2期ではタブレット端末を活用したPBL型の授業づくりが各学校で展開できるよう取り組んでいきたい。
【第115回教育委員会対象セミナー・大阪:2024年11月1日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年12月2日号掲載