青山学院大学は2023年度から学生のキャリア支援として、OB・OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を大学の公認サービスとして導入している。
本サービスは学生がスマートフォンアプリなどから、自分の志向にあったOB・OGや、同じ学部出身のOB・OGを探して、直接訪問依頼をしたり、オンライン面談を行ったりできるシステムだ。
学生にとってOB・OG訪問は、自身の将来のキャリアを考える際、実際に社会で活躍している社会人の話が直接聞ける貴重な機会だ。OB・OG訪問について、青山学院大学の進路・就職センターでは近年、次のような課題を抱えていた。
こうした課題の解消を主な目的に本サービスを活用。17年から学生個人として利用がみられたが、22年に大学として試験的に導入し、23年から大学公認サービスとなった。
本サービス導入により、学生のOB・OG訪問がより活性化した。
登録者数は、公認前に比べて2倍以上に増加。学生の訪問依頼件数は約1・7倍に、また企業の訪問承諾件数は約1・8倍に増えた。承諾率も60%を超えている。
「大学公認のサービスであることから、学生、OB・OG双方ともに信頼を寄せているのだと思います。クレームもこれまで届いておらず、学生・大学側とOB・OGとの関係性が向上していると考えています」(青山学院大学進路・就職センター・平井昇氏)
お互いの連絡先を交換せずに訪問依頼から実施までシステム内で完結する。お互いのやり取りは24時間、有人によって監視され、メッセージにNGワードがあった場合は非表示となる。こうした安心感や安全性も、活用度の高さにつながっているようだ。
進路・就職センターはキャリア支援関連セミナーを開催しているが、近年はセミナーへ参加する学生が減少しているという。
「その理由のひとつは、自分自身で積極的に情報を入手して就職活動を進める学生が増えたことです。歓迎すべきことですが、一方で就職活動に対してスロースタートな学生、思うように就職活動が進まずモチベーションが下がってしまう学生もいて、二極化が進んでいます」
同センターでは特に後者の学生に対して、個別相談などを行い積極的に支援していく。
「学生は就職に関して、自分のやりたい仕事を求めつつも、ライフ・ワーク・バランスを重視した企業選びや働き方を志向しています。大手企業への就職にもこだわらず、また転職もいとわない傾向にあります」
同学ではこれまで、卒業生で組織する「青山学院校友会大学部会 在校生就職支援委員会」と連携して、模擬面接会、業界研究セミナー、悩み相談交流会などを実施。参加した学生からも好評だ。
将来的には、校友会とビズリーチ・キャンパスのそれぞれのOB・OGが連携して、「オール青山」で学生の支援にあたってもらえることを期待している。
平井氏によれば、学生は総じて素直であり、コミュニケーション力や他者を巻き込む力にも富んでいるという評価を受けているという。「そうした良さを活かしつつ、さらに様々な経験を積んで卒業後も活躍してほしい」と学生と卒業生にエールを送る。
(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年12月2日号掲載