前身のICT活用教育アドバイザーからお引き受けし、現在の学校DX戦略アドバイザーで5年目になります。私は主に北海道内の自治体の依頼をお引き受けしています。広い北海道です。自治体によって、端末も、アプリも、ネットワークの帯域も違うので、支援を行う際にはそれらの内容を事前に確認してから、支援内容を考えています。
支援内容の多くは「1人1台端末の授業での活用実践」や「学校全体での活用度を高めていく方法」で、学校現場でのICT活用の程度を示す「SAMRモデル」をベースにお話しています。当初はどの自治体も本モデルにおける「Substitution:アナログからデジタルへの代替」や「Augmentation:デジタルでしかできない学びの拡大」が課題でしたが、次のフェーズである「Modification:これまでの授業観の変容」、「Redefinition:教育課程の再定義」への転換への助言を求められることが増えています。
私がお話しているのは「個別最適な学び」や「協働的な学び」を促す「PBL(プロジェクト型学習)」の実践です。これまでの安定した「一斉指導」、「教科学習」での授業観ではどうしても1時間の授業の中で、どのように学習内容を教えるか、というイメージに固執し、1人1台端末の活用も限定的になります。しかし、PBLは単元全体のプロジェクトを子供たちと設定し、チームで相談しながら、それぞれの方法で解決を目指すため、子供たちが何を学ぶかではなく「どのような力を身につけるか」が重要であり、教師はその育成のために関わります。1人1台端末は学びの解決のための道具となるのです。
某自治体では教員経験6年目の必修研修として「PBLの授業構築」が設定されています。若い先生たちが早い段階でPBLを経験し、新しい授業観を現場に定着させていくことが狙いです。PBLを理解した若手は「すぐに学校で実践したい」と話します。この若い力が「R」に進む原動力になるといつも感じます。教師も子供も学びの新しい概念を獲得していくことがNEXT GIGAの鍵だといえます。
今後とも全国どの自治体でも支援していきたいと考えています。ぜひPBLを位置づけた学校DX支援を活用して預ければと思います。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年12月2日号掲載