学校DX戦略アドバイザーとして、その前身となるICT活用教育アドバイザーを含めて、これまでのべ12の都道府県教委と26の市町村教委の支援に関わらせていただいています。
支援内容は、当初、効果的なICT活用や端末持ち帰りの進め方など、主に活用に関する内容が多かったのですが、最近は教育DXの進め方や教育データの利活用のあり方といった総合的、包括的な内容の依頼が増えています。
この5年間、それぞれの自治体がGIGAスクール構想実現に向けて取り組んでいます。その過程においては多様な課題に直面し、解決に向けて工夫や努力を重ねています。それは、数十ほどの課を束ねる政令市のような大きな教委から、担当が1人しかいない小規模の教委に至るまで同様です。
そこで支援を行う際には、その自治体がどのようにこれまで取り組んできたのかを可能な限り聞き取った上で行うように努め、これまでの自治体の経緯を踏まえないまま、安易にこうすべきだという「べき論」的な助言にならないようにしています。
これまでの方法やシステムの変更は、教委にとっても、担当者にとっても、そして学校にとっても一定の負荷がかかります。それによって得られる成果や効果も大きいのですが、ドラスティックな変化に対する負荷をどのように減らしながら改善を図っていくかということまで一緒に考えられるのが、同じ教委の職員でもある私の役割だと考えています。
教委間の情報共有の重要性を理解していても、実際には容易にはできないのが実情です。だからこそ、支援に使用した資料等は、原則、支援先の自治体には提供し、支援後も連携できるようにしています。
教育DXという、教委にとってこれまでナレッジの少ない取組の推進のためには、各自治体の独自性を発揮しながらも、都道府県単位や広域で連携することで、GIGAスクールの理念でもある自治体格差を生じさせない教育環境が実現できるものと考えています。そのために、本アドバイザー事業をご活用頂きたいと思います。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年12月2日号掲載