10月16日、第113回教育委員会対象セミナーを札幌市内で開催。運用から1年が経過したゼロトラスト環境「奈良市モデル」、北海道における1人1台端末活用、個別最適で協働的な学びと次世代の教員養成、情報活用能力育成と校務DX、ふり返りと自己調整学習の取組が報告された。
洞防人主任指導主事が北海道のGIGAの現在地について報告した。
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北海道内の高等学校では2022年度から1人1台端末活用が始まり、今年度から全学年で端末、クラウドを活用した授業が行われている。
道内の各市町村における教育情報セキュリティポリシーの策定率は年々上昇しており全国平均より高い。校務用PCは1人あたり1・3台、指導用PCは1人あたり1・1台程度整備され、全教員が端末を校務でも授業でも活用できる環境だ。
ICT活用指導力に関する研修を受講した教員の割合は7割弱程度。当課でも様々な研修を行っており、ぜひ活用いただきたい。働き方改革もあり、現在は時間に囚われずいつでも研修が受けられるようオンデマンド配信等も行っており、今後はこのような研修を充実させたいと考えている。
23年度の全国学力・学習状況調査の学校質問紙調査によると、端末を授業で週3回以上活用している北海道の学校は小中学校ともに9割を超えている。全国平均より高く、前年度より増えており、日常的な活用が進んでいるものと捉えている。
一方で、学校と児童生徒との回答状況には差が見られ、子供は教員の認識ほど活用を実感していない。子供が端末の活用や効果を実感できるよう、使い方の工夫が必要である。月1回以下と回答した子も一定数おり、週3回以上使っている子と同じ学校に進学したときに活用頻度の差が学習に影響を及ぼす可能性があることが懸念される。
北海道教育委員会では「DXチェックリスト」を学校に配布し、学校がこれを用いて、自校の状況を把握し、改善できるようにしている。
チェック項目の達成度を全ての学校に調査したところ、授業での端末活用については、概ね小中学校と同様の傾向が見られた。また、校務でのクラウドサービス活用については、項目によって学校ごとに差が見られ、例えば、小規模校では、保護者との連絡にクラウドサービスを用いるより、電話等を用いたほうが、円滑に対応できると考える傾向が見られるなど、学校の実情により進捗は様々である。
これからの学校教育においては、児童生徒がICTも活用し、自ら学習を調整しながら学んでいくことができるよう、「個に応じた指導」を充実することが必要である。ICTの活用により、児童生徒1人ひとりが、自分のペースを大事にしながら共同で作成・編集等を行う活動や、多様な意見を共有しつつ合意形成を図る活動などの「協働的な学び」も発展させる必要がある。
「令和の日本型学校教育」を構築し、全ての児童生徒の可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、学校教育の基盤的なツールとしてICTは必要不可欠なものである。このことを踏まえると、教員は、授業研究を積み重ね、「児童生徒はいかに学ぶのか」「私たちはそれをどう支援するのか」を問い直しながら、ICTの活用モデルを確立させる必要がある。
【第114回教育委員会対象セミナー・札幌:2024年10月16日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年11月4日号掲載