1897(明治30)年、和洋裁縫女学院として創設された和洋女子大学は、女性の自立が日本の近代化に不可欠であるという考えの下、女性が手に職をつけることにより経済的自立および人間的自立を目指し、女性が収入を得やすい和裁と洋裁を教授した。
建学の精神は「和魂洋才・明朗和順」。近年はこの精神を踏襲しながら、新しい教育目標「人を支える『心』と『技術』を持って行動する女性」を標榜し、社会に出て自立し、活躍できる女性の育成に力を入れている。
千葉県市川市にあるキャンパスは人文学部、国際学部、家政学部、看護学部の4学部。
同学が今注力している分野の1つに「生成AI技術の活用」がある。2022年には文部科学大臣から数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)の認定を受け、既に学生に生成系AIを活用した教育プログラムの提供を開始している。26年4月には新たに「AIライフデザイン学部」を開設する予定だ。
新設学部の準備を進める同学全学教育センター・服飾造形学科の鬘谷要(かつらや・かなめ)教授は、「本学が新設するAIライフデザイン学部は、AIの使い手を育成することに徹したカリキュラムであることが特徴です。本学が既に持つ4学部9学科の専門分野の教育をAIと融合させ、幅広い実際の課題へのAI適応について、実践的に学べるようにします」と語る。
企業との協力態勢も整える。企業と共に企業が求めるカリキュラムを開発し、社会で活躍できる人材の育成に力を入れる。
AIに関わるセキュリティーや倫理問題など、AIと正しく安全に付き合う方法についても特に力を入れて教育していく考えだ。
今年6月に実施したオープンキャンパスでは、生成AIアバターによる学校案内サービスを導入した。
東京都渋谷区にある、生成AI分野に特化したスタートアップ企業、カサナレ株式会社と共同開発したものだ。
同社がAIアバターを作成して学内数か所に、AIアバターを組み込んだ大型モニターを設置した。モニター前に立った質問者が画面のAIアバターに問いかけると、瞬時に答えが返ってくるシステムだ。
同学によれば、このような取組は国内大学では初。今回の取組は、新学部「AIライフデザイン学部」の開設に先駆けた実証実験という位置づけでもある。
「本学にオープンキャンパスで来学する高校生とその保護者を始め、広く学内外の生徒・学生に、AIに親しんでもらうことを第一の目的にしています」
オープンキャンパス当日は、多くの高校生が、AIアバターとの会話を楽しんだ。質問内容は、学食のメニューや大学までの道案内といった学生生活に関わることを始め、最近のファッションに関する話題、AIライフデザイン学部など大学の教育内容に関する質問が多かった。
「高校生たちはAIアバターを面白がってくれたようで、AIに馴染んでもらうことができました。現在はAIアバターの学習量と情報量を増やして、AIアバターの対応力を強化させているところです」
今後実施するオープンキャンパスでは、バージョンアップさせたAIアバターと高校生との接触機会を増やして、AIアバターを新学部の象徴的な存在に育てていく計画だ。
鬘谷教授によれば、同学には、優しくおとなしいタイプの学生が多く、卒業したら人の役に立ちたい、人を喜ばせたいと考えている学生が多い。
「本学はややもすると、保守的で守りの気風と言えますが、AIというツールを使って世の中を変えていくような新しい時代の人材を輩出していきたい」
新設するAIライフデザイン学部を起爆剤に、大学全体にAIを浸透させていく考えだ。
(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年10月7日号掲載