文科省・デジタル学習基盤特別委員会は、次期学習指導要領やGIGAスクール構想第2期に向けたデジタル教科書の在り方や制度的な位置付けを検討する「デジタル教科書推進ワーキンググループ」(堀田龍也主査・東京学芸大学大学院教授)を設置。第1回会議が9月4日開催された。
本WGでは、2023年2月中教審まとめ「紙の教科書とデジタル教科書は当面の間併用」とされているデジタル教科書の「当面の間」以降の推進方策を検討する。
国は2024年度、国・公・私立の小学校5・6年生、中学校全学年に英語の学習者用デジタル教科書(以下、デジタル教科書)を、一部の小・中学校等の小学校5年生~中学校3年生に算数・数学のデジタル教科書を提供しており、28年度までにデジタル教科書を活用する学校を100%とすることがKPIとして示されている。
音声や動画などのデジタル教材と一体的に使用できることがデジタル教科書のメリットの1つであり、現在のデジタル教科書についてはデジタル教材とのセット販売が多く、デジタル教科書単体での販売は少ない。
しかし今後、デジタル教科書を全教科で利用し、それを国予算で配備する場合、デジタル教科書はシンプルな内容とし教材は別途、各校等で購入して利用する形式になることも考えられる。これまでデジタル教科書を活用していたとしても、国が配備するデジタル教科書については、これまでと使い勝手が異なる可能性がある。
各社では、教科書掲載の二次元コードから自動採点ができるコンテンツや動画にリンクするなど工夫を凝らしているが、その制作負担もあり、今後はデジタル教科書と連携して利用する教材として別途販売することも考えられる。本WGでは、各社で進めていたデジタル教科書と教材等の接続や連携の整理も求められることになるだろう。
委員からは
などと指摘があった。
堀田主査は、「本会議はデジタル教科書を使うべきか否の検討ではなく、1人ひとりが任意のタイミングで学ぶことを前提とした教育課程や授業改革を促す方策を検討する。供給については大胆に見直す可能性も検討することになるだろう。様々な施策と連携する必要がある」と話した。
2023年度「大規模アンケート調査等の実施による学習者用デジタル教科書の効果・影響等の把握・分析等に関する実証研究事業」(2024年3月26日公表)によると、前年度調査と比較して教員による授業中の学習者用デジタル教科書の使用頻度が向上しており過半数の教員が4授業のうち1回は利用。
さらに「4授業のうち3回程度以上使用」している教員は、英語・社会各29%、算数26%、国語・理科各21%、数学16%であった。学年で見ると小学校低学年は国語、中高学年は算数、中学校は英語が特に使用頻度が高い。
デジタル教科書の機能については中高学年や中学生において、ペンやマーカー機能、画面の保存機能が特に使用頻度の伸びが大きい。
また、教員のデジタル教科書の使用歴が長くなるほど使用頻度が高まる傾向や、学習者用デジタル教科書を「いつも使う」児童生徒は「授業内容がよく分かる」「主体的な学びを実施している」と回答した割合が高かった。
学習者用デジタル教科書を導入するに当たり教員は、
など、端末・ネットワーク面環境について、共に約4割の教員が課題を感じている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年10月7日号掲載