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教育ICT

新しい環境に合わせた新たなルールを見直す 第50回JAET大会の見所<JAET会長・高橋純教授(東京学芸大学)>

2024年10月9日
第50回全日本教育工学研究協議会全国大会
JAET会長・高橋純教授(東京学芸大学)

JAET会長・高橋純教授(東京学芸大学)

50回全日本教育工学研究協議会全国大会・東京都港区大会が港区立小中一貫教育校赤坂学園赤坂中学校で102526日に開催される。

大会テーマは「Next GIGA~創造性を育むICTを活用した新しい時代の教育を目指して~」。全体会と研究発表など本大会のプログラムの一部は当日申込も受け付けており港区内の教員・教育関係者と学生は無料で参加できる。

JAET会長である高橋純教授(東京学芸大学)に本大会の見所を聞いた。

なお、次年度の第51回大会はつくば市で開催予定。主催は日本教育工学協会(JAET)。

 

50周年記念でパネル討議

今回は記念すべき全国大会50回目となり、公財・パナソニック教育財団も50周年であることから、合同記念パネル討議を行います。

10年前、同財団の支援で11台の学習者用PCを配備した実証地域4地区(富山市、春日井市、奈良市、柏市/ワンダースクール応援プロジェクト)は現在のGIGA端末活用でもその実践が話題になる地区です。

このことから経験を積んだ学校ほど良い実践につながるという仮説のもと、当時どのようなことが行われていたのか、それが今にどうつながっているのかについて、当時の実践者から現在の実践者や若手へバトンをつなぎ、かつこれから本格的に進めたいと考えている地区にも参考になる討議を展開したいと考えています。

 

公開授業校はほぼ毎月授業研究

初日の港区立小中学校4校による公開授業後には、公開授業校によるパネル討議を予定しています。

例年は各校の助言者であるJAET委員が登壇していましたが、今回は授業者が登壇して公開授業に至るまでの工夫や成果、終えたばかりの授業について討議します。

インターネット回線の増強から始まり、毎月のように授業研究会を行っており、自由進度学習や子供に選択肢を増やすなど授業内の複線化が始まっている学校もあります。

様々な教材が導入されているのも特徴で、豊かな学習環境を活かした授業展開が期待できます。この公開授業校の取組は区内の小中学校に広がり始めているようです。

建て替えたばかりの赤坂学園の学校施設も、見所の1つになるでしょう。

 

授業改革など研究発表が充実

2日目の研究発表は、150件を超える過去最多の応募がありました。内容もGIGA端末をきっかけとした複線型授業の実現など授業改善の事例に進化しており、AIの教育利用に関する発表も見られるようになりました。

ワークショップでは、公財・教科書研究センターの協力によりデジタル教科書と複線型の授業をテーマに討議。参加者はぜひデジタル教科書を活用したご自身の実践の写真を端末に入れて当日持参して下さい。

 

学校情報化認定が3000校以上に

学校情報化認定も9月には認定校が3172校となり、再認定も順調です。本認定は自己評価を基本としており意識や頑張りを評価する内容ですので、前向きに取り組む学校が増えていると感じています。

2024年度学校情報化先進校

教科指導におけるICT活用(4校)

▼つくば市立みどりの学園義務教育学校

▼港区立白金小学校(今年度JAET大会公開授業校の1つ)

▼岩沼市立岩沼小学校

▼葛飾区立東金町小学校 

情報教育(1校)

▼六ケ所村立南小学校(昨年度JAET大会公開授業校の1つ)

校務の情報化(1校)

SOLAN学園瀬戸SOLAN小学校(昨年度「教科指導におけるICT活用」先進校)

 

これまでの常識が常識ではなくなる

「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ取りまとめ」が7月に公表されました。「硬直的な利用制限の見直しを図っていく必要がある」と示されているように、ICT環境整備のみならず、新しい環境に合わせたルール作りが必要です。

他にも、GIGA端末では予備機が整備必要数の15%分積算されていますが、これは予備機がいつでも代替機として使えるように、普段から担任や教科担任のほか養護教諭やICT支援員や講師など学校に携わる様々な方が活用することを期待されているものです。

本まとめには「働き方改革の観点から適切な表示領域を確保して、業務の効率化を図る」ことも記載されています。ここには教員用にセカンドディスプレイの追加が考えられることも示唆されています。これらを理解した整備が求められています。

「デジタル学習基盤」とは、子供1人ひとりの求めに応じて瞬時にいつでもどこでも学習できる環境です。デジタルは情報量が多くなりすぎて深まりにくいという意見もありますが「求めに応じ」られることが重要で、大量の情報が欲しい人、そうではない人の双方に対応できることがポイントではないでしょうか。大量の情報を上手く拒絶する、取捨選択する力をどう育むかを考える必要があります。

デジタルが増えると読解力が身につかないのではという意見もありますが、これまでの読解力は「テキストから読み解く」読解力でした。しかし、今は多くの情報が動画から取得されています。Chatのコミュニケーションもテキストではなく音声で進めている国もあります。また、AIに関する研究者はスピードが求められるため、論文より先に動画で発表する傾向もあるようです。

自分たちが手に入れてきたスキルに継続して価値があるとは限らないのです。これまでの知恵も活かしながら未来に向けて知をいかに発展させていくかの観点から考えたいものです。

端末を整備するだけではなく、それを活かす学びが求められており、かつその学びはこれまでの学びとイメージが異なることを想定しながら進めることが求められるでしょう。

生成AIが組み込まれた製品も日々増えています。生成AIと対話するより検索の方が良いというレベルであれば検索で良く、無理に使う必要はありません。しかし、従来の方法で限界が起きたときに利用せざるを得なくなります。そしてそれが今起こりつつあります。

必要に迫られて活用していくことになれば感覚も自然に変わっていくでしょう。

ゴールが常に前に伸びていく感覚に戸惑うかもしれませんが、私自身「いつの間にか時代遅れになっていたくない」と考え、将来も変わらず大事なことは何か、これまでの常識を疑いながら進めているところです。

 

公開授業校

▼港区立小中一貫教育校 赤坂学園 赤坂小・中学校:全学年17授業公開

▼港区立麻布小学校:全学年7授業公開

▼港区立白金小学校:全クラス25授業公開

▼港区立小中一貫教育校 お台場学園 港陽小・中学校:全学年9授業公開

 

詳細はこちら:第50回全日本教育工学研究協議会全国大会 東京都港区大会

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年10月7日号掲載

 

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