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教育ICT

2025年度文部科学省概算要求 GIGAスクール構想第2期の基盤整備を強化

2024年10月7日

世界に類を見ないスピード感で全小中学校の児童生徒に11台端末を配備し、ICT活用率も年々上昇。

全国学力・学習状況調査においても「主体的・対話的で深い学びに取り組むほど平均正答率が高い」「ICT機器の効力感に肯定的に回答した児童生徒ほど、挑戦心・自己有用感・幸福感等に関して肯定的」という分析結果が出ている。

一方で、課題もある。地域・学校間格差や、端末のスムーズな更新と整備、端末を円滑に利用するためのネットワーク環境、急激に浸透している生成AIへの対応だ。

20246月に閣議決定された骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2024)でも「GIGAスクール構想を中心にクラウド環境や生成AIの活用等による教育DXの加速」「通信ネットワークの着実な改善」「地域間格差の解消に向けた好事例の創出」「伴走支援の強化」「校務DXの推進」などが盛り込まれている。

2025年度概算要求では、これら課題を解決する施策を実現する。高等学校関係では、探究・文理横断などの学びを推進する高等学校改革を進め、DXハイスクールも継続する。

 

学校通信ネットワーク速度の改善

■回線契約、初期費用、機器入れ替えを補助

学校の通信ネットワーク環境について文科省が決算ベースで試算したところ、「9割以上が家庭の通信契約と同程度の想定」であると予想される結果であった。

文科省によると「多くの学校では1Gbpsベストエフォートの契約だが、理論値でいうと300Mbps程度で151人以上の規模の学区では当面の推奨帯域を満たせる可能性は低い」という。

そこで、11台の端末を円滑に活用できるネットワーク環境整備に向け、ネットワークアセスメントにより必要な通信量を計測した上で整備できるように、ネットワークアセスメント事業費を1校につき100万円計上(補助割合13)。

このアセスメントの結果を踏まえたネットワーク環境の改善--機器の入れ替えや回線敷設、設定変更等についても1校につき200万円(補助割合13)、回線契約の切り替えに係る初期費用については1校につき40万円(補助割合13)を計上した。

なお、ネットワークアセスメント補助事業については2023年補助費でも行っており、追加募集を行っている。

■大規模改修は1校400万円以上から

このほか学校施設環境改善交付金において、校内ネットワーク環境で大規模改修を伴うものについては国庫補助でも1400万円以上を想定して予算を計上している(補助割合13)。

文部科学大臣、総務大臣、デジタル大臣の3大臣連盟により、電気通信事業関連4団体に対して、学校規模等に対応した通信サービスを要請したところ。

具体的には次のサービスを例示した。

  • 10Gbpsなどの従前よりも広帯域のベストエフォート型サービス
  • 回線を共有する利用者数が少ないベストエフォート型サービス
  • 別系統の設備により提供されるベストエフォート型サービスの複数利用
  • ギャランティ型のサービス

今後文部科学省はデジタル庁とともに、学校が当面の推奨帯域を満たすための通信サービスのカタログ化の取組を進める予定。

ネットワークアセスメントの発注や、通信契約の変更等について事業者と適切に交渉していくためには、ネットワークについての一定の知識が必要だ。

そこで教育委員会の担当者向けに「学校のネットワーク改善ガイドブック」を提示し、通信契約の見直しの観点を示している。

■通信費は地方財政措置で計上

なお毎月生じる通信費などのランニングコストについては「学校のICT環境整備に関わる地方財政措置」で積算できるように調整中だ。

 

次世代校務DX環境 全国的に整備

■1校に680万円 校務DXで計上

デジタル行財政改革取りまとめ2024では、

2026年度から4年間かけてパブリッククラウド環境を前提とした次世代校務DX環境への移行を順次進める。併せて都道府県単位での校務支援システムの共同調達を推進する」

「小中学校等における指導要録、健康診断票、出席簿、調査書については国または都道府県単位で共通化やデータ標準化を行い、その他の帳票も含めて特段の支障がない限りカスタマイズ(独自仕様の導入)を行わないよう働きかける」

こととしている。

文科省では2024年度も都道府県域での次世代校務DXモデルケースの創出を図っており、次年度概算要求では都道府県域での共同調達を前提とした次世代校務DX環境の整備支援として1校につき680万円(補助割合13)を計上。

都道府県域での共同調達と帳票統一を前提とした校務DX環境整備に係る初期費用を支援する。

■都道府県に準備費を計上

これとは別に、帳票統一やロードマップの策定等各プロセスを進めるための支援として都道府県を対象に5000万円を計上(補助割合13)。

■コンサル経費を補助

教育情報セキュリティポリシーの策定/改定支援、セキュリティリスクアセスメント、教職員ICT研修等、学校DXに向けた技術的なコンサルタントに要する経費も1校につき20万円計上(補助割合13)。

なお「GIGAスクール構想の下での校務DX化チェックリスト~学校・教育委員会の自己点検結果」を公表している。

 

GIGAスクールにおける学びの充実 伴走支援を強化

■学校DX戦略アドバイザー事業

国費で各種アドバイザーを派遣する。2024年度アドバイザー登録人数は163人。22年度はICT活用教育アドバイザー事業として実施しており、役割を拡充して名称を変更した。

23年度は1302件の問合せ案件があり、24年度は約3か月で1023件の問合せが届いている。

詳細=学校DX戦略アドバイザー事業ポータルサイト/ ☎0570033335(平日9時~17時半)

■リーディングDXスクール

100校を指定。指定校における11台端末及びクラウド環境を基盤とした個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に資する好事例を創出する。

■情報活用能力調査

昨年度、児童生徒(小5、中2、高2)を対象に予備調査を行った「情報活用能力」を24年度に実施。調査報告書の作成・結果公表は25年度。

■情報モラル教育

生成AIの活用ファクトチェックなど児童生徒が自分で考え解決できることを目指し、情報モラルポータルサイトを充実。情報モラル教育指導者セミナーも実施する。

 

高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)

■新規で250校

2023年度補正予算で計上・実施されたDXハイスクールは次年度予算に新規予算として計上。

情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを進める学校や探究的・文理横断的・実践的な学びを強化する学校にハイスペックPCや通信機器、理数教育や高度な実習設備整備、専門人材派遣等の業務委託費を支援するもの。

継続校1000校に750万円、新規採択校250校に1000万円、都道府県による域内横断的な取組に1000万円を計上する。

■「横断的取組」や「重点類型」など追加

次年度は「重点類型」「都道府県における域内横断的取組」を追加した。

「重点類型」では特色化・魅力化型、グローバル型、プロフェッショナル型(半導体重点枠含む)など特定分野について重点的に実施する学校110校については上限額を加算する。半導体重点枠とは半導体に関する教科・科目の開設。

「都道府県における域内横断的取組」は、プログラミング等情報技術を活用したコンテストの実施、情報Ⅱ等に関する教員研修、DXハイスクール取組事例発表会や研究協議会の実施、高校生を対象としたデジタル人材育成講座の開設などを想定している。

 

生成AIの活用を通じた教育課題の解決・教育DXの加速

2023年度から生成AIパイロット校を指定して生成AIを教育・校務で活用する実践例を創出しており、次年度も継続予定。

次年度はパイロット校以外の国内事例も収集。これに加えて生成AIの活用に伴うリスクへの対応(例:ガイドラインの遵守、セキュアな環境下での活用)を考慮した先進的な取組の創出、教育分野に特化した生成AIモデル・サービスに関する実証等を多面的に進める。

「生成AIパイロット校の指定を通じた利活用事例の創出」については教育利用10自治体、校務利用100自治体を指定。いずれも学校単位で推進する学校を支援して事例を創出・共有する。

「セキュアな環境における生成AIの校務利用の実証研究事業」は民間企業3社に委託。生成AIの校務活用やダッシュボード等ツール連携など校務活用を実証して「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を見直す。

多言語対応が必要な外国にルーツを持つ子供・保護者への対応、1人ひとりに合った個別最適な学習の提供など、教育分野の特定の課題に対して生成AIを活用した課題解決の可能性を検証。大学・企業等4件に委託して進める。

学校現場における生成AIの利活用等の実態調査も実施。事例集も作成する。

■補習等のための指導員等派遣事業

昨年度も現場から好評であった指導員派遣事業を拡充する。

学習プリント等の準備や来客・電話対応、行事や式典等の準備補助等をサポートする教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)は全小・中学校に配置。

副校長・教頭マネジメント支援員は3000人に拡充。学力向上を目的とした学校教育活動を支援する学習指導員は12000人に拡充。いずれも国13、都道府県13補助。

 

令和7年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年10月7日号掲載

 

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