8月1日、松山市内で教育委員会対象セミナーを開催。愛媛県教育委員会はメタバースを活用した不登校支援、四国中央市教育委員会・徳島県教育委員会はGIGA推進、宇和島東高等学校は教科等横断の探究型授業、堀江小学校は主体的な学びに向けた授業改善について報告した。
四国中央市教育委員会は2023年12月、学校情報化先進地域に認定。同市の取組について鈴木崇士課長が報告した。
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本市では少人数のGIGA担当者がアカウント設定・毎年のパスワード変更などの管理を担当し、教員の負担軽減を図っている。
端末はChromebookを導入。故障が少なく、管理が容易で運用負担が少ないため現状の人員で対応できる。GIGA2期でも継続して採用予定である。
端末を効率的に活用するため、可能な限りSSOを設定できる教材やツールを導入し、市のポータルサイトに学習用のサイトやツールを集約してアクセスしやすくしている。
端末の不具合・故障時には、「不具合連絡フォーム」に学校が入力し、管理システムで進捗を管理。GoogleMeetを使ってオンラインサポートも実施している。
これらのICT環境の下、GIGAスクール構想を強力に推進するための施策が「GIGAしこちゅ~プロジェクト」だ。
授業改善のための「StuDX Style」や「教職員研修プログラム」、STEAM教育の充実を図る「チャレンジプログラム」の3つを柱に展開。
モデル校を指定せず全教員のスキルの底上げを図っている。
教員と子供、子供と子供が「対話」する時間を確保する環境整備のため、チャットは制限を設けず自由に使うことができることとし、クラウド環境の下、協働編集や他者参照を通して新しい知識を習得したり刺激を受けたりしながら学びを深める授業観への転換を図っている。
コロナ禍で整備したオンライン環境も日常的に活用。全学年複式学級の学校と県外の小規模校をつないだり、宮城県の学校と防災教育を行ったり、学校規模や目的を意識して交流している。
ICT支援員は全小中学校を年間600回以上訪問。GIGA運営支援センターはICT支援員が輪番制で運営し、各校の情報を集約しつつ定期的にポータルサイト「GIGA×CHU」で事例を紹介している。
教員の創意を活かした発展的な学習を支援する「チャレンジプログラム」では活用事例を共有し教員・子供双方のレベルアップを図っている。
市のHP「GIGAスクール通信」で各校の取組を共有したり、Googleドライブで市内の教員が作成した教材を共有している。
発達段階に応じたプログラミング教材を企業からの寄付等のもと、全小中学校に配備しており、中学生が指導する小学生向けのプログラミング教室を開催するなど、小中高大の連携も推進。
徳島大学主催・本市共催のプログラミングを競う国際大会には市内全中学校が参加した。
市内全小学校でタイピング検定も実施している。120タイプ/分以上の取得者の割合でクラスマッチを行い、3月の校長会で上位クラスを表彰。取得率は年々向上している。
児童生徒の自主的な活動を推進するため、学校のICT活用の推進役を担う「ジュニアICTリーダー」を各校2人選出して、Googleと連携したワークショップで効果的な検索手法やプレゼンテーションについて学び、各校に持ち帰って校内展開してもらっている。
端末で貸出可能な電子図書館の選書もジュニアICTリーダーが行った。全国にも活動を広げているところだ。
GIGAスクール構想の成功の鍵は学校・教育委員会・行政が一体となり、大学や民間企業など産官学が連携して進めることだ。本市の取組を広く周知することで様々な応援をいただいている。
GIGA2期は新たなビジョン「Find Your Dreams.構想」を掲げ、教育データ利活用の環境整備に取り組む予定だ。
学習系・校務系ネットワークを統合しゼロトラストネットワークの構築を目指していく。
【第111回教育委員会対象セミナー・松山:2024年8月1日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年9月9日号掲載