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教育ICT

働き方改革でフルクラウド・ゼロトラスト対応 印刷環境見直し ~埼玉県新座市教育委員会

2024年7月2日
校務DXで業務改善
森智寛主任

森智寛主任

仁平悟史専門員

仁平悟史専門員

新座市教育委員会(小学校17校、中学校6校・埼玉県)では10種類以上あった契約を20238月末日に統一。働き方改革と教育活動の一層の充実を目的にGIGAスクール構想の下での校務DX

仁平悟史専門員(教育総務部教育総務課)と森智寛主任(同専門員管理係)に実現の経緯を聞いた。

 

多様で複雑化した契約内容を見直し

教育ICT環境の整備は「契約が切れた内容を順次更新する」という傾向があり、その結果様々な機器や契約内容が混在し管理も複雑化する傾向にあります。

本市では前任者が510年をかけて10種類以上あった契約を整理し、リース契約の期間を短縮したり、再リース契約を結んで期間を延長したりして、同じ時期に更新できるように複数の契約期間を20238月末日に統一。

様々な契約や機器を一気に見直すことは大変である反面、ネットワーク環境などの大きな整備を思い切って新たに検討することが可能になりました。

現在の契約終了を見据えて新たな検討を開始したのが20215月です。ほぼ同時期に「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」改訂版が公表され、「校務系システムを従来のように閉域網で運用するのではなく、いわゆるゼロトラストの考え方に基づきアクセス制御によるセキュリティ対策を十分講じた上で、校務系・学習系ネットワークの統合を進める必要がある」と示されたことが「フルクラウド・ゼロトラスト対応の実現」という思い切った改革を後押ししました。

 

数千項目を吟味して仕様書を作成

フルクラウド・ゼロトラスト化を進めるためにセキュリティ関連、ゼロトラストやネットワーク全般について新たに学ぶべきものが多々ありました。1つひとつを吟味して作成した仕様は、機能要件などの仕様部分をすべて合わせると数千項目におよびました。本市の仕様書は興味をお持ちの教育委員会や事業社の方にご提供しています。

まず、フルクラウド・ゼロトラスト化はセキュリティを担保し、かつ働き方改革にも寄与する必要があります。そこで校務や授業はもちろん、テレワーク時もシングルサインオンで二要素認証を必須としています。

GIGAスクール構想で導入した児童生徒用端末を含むすべての端末にEAP-TLS認証も導入。これにより教職員の私用端末をネットワークに接続したり、学校外から学校のアクセスポイントに不正接続されたりするリスクに対応しています。

すべての通信を保護し、ネットワークの経路上にSASE(セキュア・アクセス・サービス・エッジ)を置いてインラインIPSやFWaaSを作動させ、SSL/TLSフルインスペクションを行うなどのセキュリティ対策も施しました。

 

学校と同一環境で校外でも仕事ができる

新しい環境では教職員用端末とインターネット接続環境さえあれば、校内と同等の業務をどこにいても行うことができるようになり、USBメモリを使う必要がなくなり文部科学省「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議」が公表した『GIGAスクール構想の下での校務DXについて~教職員の働きやすさと教育活動の一層の高度化を目指して~』(20233月)に示された環境をほぼ実現できました。

これは学習基盤として今後の学習データ利活用による学校運営や個別最適な学びの素地となると考えています。本環境実現後、学校からは「校外でも学校と同一の環境で仕事ができるので、端末を持ち帰る職員が増えた。週末に緊急のメール連絡が必要になっても自宅から対応できる」などの声が届いています。

 

印刷環境を見直し消耗品も自動で発注

今回の様々な検討でもう1つ、学校の働き方改革に寄与する見直しとして印刷環境の改善がありました。

「印刷需要が学期末や年度末などの同じ時期・放課後や昼休みなどの同じ時間帯に急増するため印刷の順番待ちが発生する」ことは多くの学校で共通する日常的でかつ深刻な課題でした。

このほか「費用削減のためにリサイクルトナーを使うことがあり、故障時に契約の保証条件が適用できず修理費用が発生する」ことも課題でした。

そこで検討のため各校教職員を対象に印刷環境に求める機能、重視事項等のニーズを調査したところ、学校教職員は「速度」を最重視することがわかりました。働き方改革を進めるという今回の方向性とも合致します。

そこで次に孔版印刷機と複合機それぞれを使用した場合の印刷速度を調査。標準的枚数での印刷速度は孔版印刷機がやや速いものの、マスター作成などの印刷工程まで考慮するとほぼ同じでした。

そこで既存印刷機器と同数以上の複合機を設置することで速度をカバーし、かつ故障時の仕事の停滞といった課題を解決。これまで必要であった製版に係る消耗品も不要となりました。

さらに、複合機により孔版印刷機、コピー機、プリンター、スキャナー、FAXを1つの機器で賄えるため、管理も簡素化しました。

複合機導入に加えてスマートチャージ「アカデミックプラン」(エプソン販売)の導入により、さらに効果が上がりました。本プランには、月額定額料金の中に消耗品代も含まれており、自動で発注されるため、消耗品を購入する費用と手間が不要になります。これまで利用していたリサイクルトナーも不要となるので保守契約以外の修理も生じません。

本プランでは年間で定めた印刷枚数まで定額で使用でき、学校間で印刷枚数を分け合うこともできます。

しかし市として既存のコピー機、孔版印刷機、プリンター、FAXそれぞれの使用現況を把握できておらず、比較検討の障害になっていたところ、エプソン販売が全校調査を行い、各印刷機器の使用枚数と設置場所、メーカー、型番などを明らかにし、必要となる消耗品費の検討比較の根拠となる数値を得ることができました。

本環境実現後、各校からは消耗品費を気にすることなくカラー印刷や両面印刷、コピーが職員室内でできることに喜ぶ声が届いています。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年7月1日号掲載

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