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教育ICT

【第121回】ICTキャンパス 東京藝術大学「分野を超えて共同研究 『文化的処方』を開発」

2024年7月1日
連載

東京藝術大学は2023年度より40の機関(246月時点)と連携して「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」をスタートしている。

アート、福祉、医療、テクノロジーの分野の壁を超えて協働的に研究しながら、人々の間につながりをつくる文化・芸術活動「文化的処方」を開発。様々な原因で生じる「孤独・孤立」の解決に取り組んでいる。

同学の伊藤達矢教授(社会連携センター)は、

「年齢、性別、文化的背景、障害、経済格差などといった垣根を越えて、多様な人々がフラットに参加できる社会基盤を整えることが『こころの豊かさ』を育むことにつながると考え、『文化的処方』という考え方のもと、社会的制度の提案や各種取組の開発を進めています。

多くの人々が社会に参加できる回路を作り、高齢になっても生産的活動に参加でき、社会へ接続する機会をより増やしていくことで、幸福度の上昇、新しい経済価値の創出、社会保障費の負担の軽減に結び付けていきたいと考えています」

テクノロジーの力で新しい芸術鑑賞体験

共創拠点におけるテクノロジー分野の取組を3つ紹介する(カッコ内は協働企業)。

  • 網膜投影型視覚支援デバイス(QDレーザ)
    視覚障害がある人のアート活動をサポート。レーザー光線を網膜に直接投影することにより視力が極端に低い人でも、人の表情や掲示物を見たり、デジタルカメラを使って撮影したりすることが可能になる。

    網膜投影型視覚支援デバイスによりレーザー光線を網膜に直接投影して目が見えにくい場合も見えるようにする

    網膜投影型視覚支援デバイスによりレーザー光線を網膜に直接投影して目が見えにくい場合も見えるようにする

  • みどころウォーク(空間体験型VR)(大日本印刷)
    バーチャル空間における空間圧縮技術により、限られた実空間で広大な仮想空間を歩き回る体験ができる。単なるVR体験ではなく、人々が共有空間で互いに交流し、芸術作品を鑑賞することができる。

    みどころウォーク(空間体験型VR)

    みどころウォーク(空間体験型VR)

  • 次世代地域コミュニケーションプラットフォームサービス(NTTビジネスソリューションズ)
    同社のAIシステムとAmazon Alexaが連携し、高齢者の地域見守りやアートを介した地域コミュニティ活性化、住民のウェルビーイングを高めることを目指す。

    アートの持つ創造力で社会課題を発見し対応する

    「社会的な課題は、最初はひっそりと社会のどこかに潜んでおり、誰もフォローに入らないうちに次第に大きくなって、気付いた頃には取り返しのつかないことになっている場合があります。

    だからこそ課題に気付く力、今必要な物事や必要な何かを自分たちで作り出していく力が必要です。

    それには人の心を動かすことに何百年も取り組んできたアートが持つ創造力が適していると感じます。異なった分野を結び付け、新しいものを生み出そうとする創造力を医療、行政、企業とともに共有できるアートベースドプラットフォーム(芸術の総合知)で、SDGsの目標期限である2030年以降の持続可能な未来の形を描いていければ」

    こうした創造力は、誰もが持っているもの。しかし多くの人がその存在に気付かずに過ごしているという。共創拠点には川崎市や愛媛県など全国9自治体も参画している。

    234月、東京藝術大学に横断研究領域「芸術未来研究場」が立ち上がり、その中に「ケア&コミュニケーション」領域が設置された。今回の共創拠点もその領域に位置付けられている。

    同学では、ケアとアートとテクノロジーを結びつけた創造力の可能性を、今後さらに追求していく考えだ。

     

    (蓬田修一)

    教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年7月1日号掲載

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