スズキ教育ソフトが提供するクラウドサービス「edu-cube」は、出欠席連絡や健康チェック、連絡網やアンケート等校務改善に役立つアプリやふり返り等のデジタル管理(Travi)、グループ内の学習の可視化(Triel)、プログラミング教材や情報モラル教材など児童生徒向けアプリをトータルで提供している。金沢大学附属小学校では、このうちふり返りのデジタル化を支援する「Travi(トラビ)」の活用を検証した。
福田晃室長(金沢大学附属コラボレーション推進室)は「トラビを用いて教員や児童が単元内を通してふり返ることに大きな効果があった」と報告。
トラビ活用のメリットについて「授業の流れの内省」「児童生徒が自分の学びを俯瞰しやすい」「意見集約と自分の感覚とのズレを意識することでアウトプットしやすくなる」ことを挙げる。
「汎用クラウドツールにもアンケート機能はあり、ふり返りに活用されているが、1時間単位ごとのふり返りになりやすいという限界を感じていた。
トラビは『学習意欲・協調性・身につける力』をそれぞれ4件法+自由記述でふり返る仕組みで、単元を通して俯瞰しやく、単元内の成長過程を比較することができる」という。
例えば、単元内の1時間目には児童の「学習意欲」があったが2時間目は下がっている等の状況を可視化でき、教員は授業の内容を内省しやすい。
児童も自分の学びを単元の流れの中で俯瞰しやすいためふり返りの質の向上がみられた。例えば自由記述では「自分は〇時間目と〇時間目の授業で変わった。最初は自分の意見を押し通そうとしていたが〇時間目に互いの良い意見を取り入れて異なった考えを構築できた」等、学びに向かう力の向上がみられたという。
福田室長は「子供のふり返りを充実させることは、個別最適な学びや深い学びの実現に欠かせない。しかし汎用クラウドツールを使ったふり返りをすべての教員が上手く活用することに難しさを感じている。普及期において誰にとってもシンプルでわかりやすいアプリは、ふり返りの質の向上に役立つ可能性がある」と話した。
トラビにはAI機能(※)も搭載。自分の学習のまとめとAIのまとめを比較することで、ズレを認識して考えを深めるきっかけが生まれると話した(※β版のため予告なく仕様を変更したり削除したりする可能性がある)。
ふり返りシートやアンケート、簡易なテストをアプリ上で実施でき、回答内容は自動集計・可視化できるアプリ。回答形式は単一選択・複数選択・文字入力・手書き入力やファイルのアップロードが可能で低学年でも利用しやすいように配慮。
回答者全員の集計のほか、活動単位やグループ単位での集計が可能で単元を通した活動を見取ることができる。蓄積した回答は一覧表示できるので、児童生徒の変容が見取りやすくルーブリック評価にも活用できる。
グループ学習の過程を可視化できるアプリ。テーマを設定してグループのメンバーとメッセージをやり取りできる。テキスト、写真、ファイル、手書きデータの共有も可能。気になるメッセージを登録して表示し、情報を整理・分析できる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年6月3日号掲載