「生成AIを使える・教えられる先生になろう」をテーマにしたワークショップが3月17日に開催され、全国から教職員が集まった。一社・生成AI活用普及協会(GUGA)とQuizKnockが共催。GUGAでは認定試験「生成AIパスポート」を提供している。『生成AI導入の教科書』の著者で現在、AI関連企業の顧問を複数社務める小澤健祐氏(おざけん)が基調講演を行った。
「生成AIは自分より優秀にはならない」という指摘がある。
どのようなプロンプトを入力するのか、得られた回答をどう判断して次の質問につなげ深めていけるかでその出力物は異なってくる。判断できる軸がある人にとっては、仕事の効率を何倍にもすることができるもの。
昨年11月にリリースされたChatGPTをカスタマイズできるGPTsは、API連携なしでChatボット等を作成でき、今後の活用の主流になるだろう。これらのツールをうまく活用するためには、ぶれない軸を持つための論理的思考力やマネジメント力、問題解決力が今後、一層重要になる。そのため今後しばらくはプロンプトエンジニアリングのスキルが求められるだろう。
例えば「生成AIに関する授業案」をより良いものとするためには「生徒が生成AIの長所と短所を体験できるような授業にする」「対象は高校生」などの「具体化」がポイントになる。
一次情報を意識したプロンプトとすることも考えられる。今後は一次情報がより重要となり、かつ二次情報や三次情報の量が増えていくだろう。
▼一次情報=実体験や独自調査により得られたオリジナルの情報。学問における研究成果。学術論文に記された内容
▼二次情報=一次情報を情報源としてまとめられた情報
▼三次情報=情報源が不明な情報
ワークショップでは生成AIによる教員業務の可能性を共有した。5~6人で構成されたグループがそれぞれ「生成AIで解決したい業務」について討議。付せんやホワイトボードなどで効率化したい業務を整理して生成AI(ChatGPT無料版)にプロンプトを入力・出力する流れで、時間は初対面同士の自己紹介含めて40分間。
あるグループでは、学芸会の台本を生成AIに依頼。あらすじと主な役名、30人全員にセリフがあるようにする等のプロンプトで台本を生成。発表者は「10分程度でここまでできた。この方法なら、子供が考えたアイデアを盛り込んだ台本もできる。いい発見ができた」と報告。
「5年生の時間割」を生成AIで作成したグループは「4クラス」「週27時間」「特別教室は全学年別の時間」「理科は外部講師なので同じ曜日に」「何パターンか作成してそれぞれのメリットデメリットを示す」「表形式で示す」などの条件でプロンプトを入力。瞬時に時間割が生成される様子に歓声が上がった。発表者は「公用文書の表記ゆれの指摘にも使える。誤りを含んだ文例の作成は指示が難しくうまくいかなかった」と報告した。
中高6年間の学習計画を生成AIに依頼したグループではテーマを「生成AIの活用法」、目標を「根拠を持って意見を述べられる」こととし、年間38回、中学校1年次に調べ学習を入れる、学年ごとの発達段階を考慮する等の条件を入力。
体育館倉庫の整理を依頼したグループは「学校では思いつかないような案が出た。様々な可能性を感じた」と報告した。
教育家庭新聞 新学期特別号 2024年4月15日号掲載