生成AIの教育利用には教員が業務で活用する側面と児童生徒・学生が学びに活用する側面がある。「教育の情報化推進フォーラム」(3月15・16開催・主催JAPET&CEC)では、授業を通した教員の生成AI活用について安藤昇氏(青山学院中等部)が報告した。
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有料版生成AIを複数活用しており、Webサイトの構築や翻訳など、時間がかかる仕事を任せている。
「Perplexity.AI(パープレキシティ)」は最新情報も含めてGoogle検索とChatGPT機能を活用でき、出展も明示するのでハルシネーション(架空の情報)もほぼ防ぐことができる。今のところ最も優秀な生成AIではないかと感じている。
「Claude3(クロウドスリー)」の有料版も利用。「ChatGPTやGeminiを上回る性能」といわれているものだ(講演時)。
「Microsoft Copilot(コパイロット)」のエンジンはChatGPT4。Word上で扱うことができ、文章生成機能が高度な印象だ。「次の文章の見出しをつけて」「これを元にプレゼンを作成して」などの作業をWord上で依頼できる。
「Midjourney(ミッドジャーニー)」は、画像生成AIだ。生徒に「画像生成AIを使って自分の好みのタイプの人物画像を生成する」課題を与えると、生徒はプロンプトのポイントを、実践を通して理解するようになる。「かわいい」「素敵」だけではイメージ通りの人物画像に近づけないためだ。
誰に教わるかにより学習成果が異なることがわかった。その教科を「好きになる」「興味を持つ」ことが最も重要であるからだ。
そこでChatGPTをカスタマイズできるGPTsで高校生を対象とした「安藤昇先生によるPython言語基礎」講座を作成し、確認テストもできるようにした。単なる講義動画と異なる点は「私がいなくても生成AIが私のように生徒の質問に回答したりやりとりしたりできる」点だ。
自分のようなやりとりが生成AI上でできるように実際に自分で試しながら数か月間メンテナンスをした。また子供の趣味、家族構成、好みなどの個人データを記憶させることで、講座を受けた生徒は本当に私とやりとりしている感覚になっていた。
生成AIは英会話学習のための動画作成もでき、それをテストとしても活用できるなど用途が明確であるものについては有効だ。定型的な仕事の多くは、生成AIに任せることができるだろう。このような仕組みを教育で当たり前のように活用できるようになると、表面的な成果主義からプロセスや創造力などへと評価の対象が変わっていくだろう。
https://www.japet.or.jp/com-edu-forum/2023-archive/
教育家庭新聞 新学期特別号 2024年4月15日号掲載