大阪公立大学とパナソニックコネクトは、支援が必要な子供の潜在的なSOSを早期に発見する「YOSSクラウドサービス」を2022年12月より提供を開始した。
■客観的なデータに基づきチームで対応
「YOSS」について説明する山野則子教授不登校の児童生徒は約19万人を超え、特にコロナ禍以降の不安定な社会情勢により、貧困・孤独・虐待など子供の環境は厳しくなっている。初等中等教育の現場で働く教員は多くの業務を抱え、子供の日常生活の変化の伝達・共有・課題支援決定を行う仕組みが組織として十分に整っていない場合も多い。個々の教員に課題の抱え込みが生じやすく、子供の適切な支援につながりにくい現状があるという。「YOSS(Yamano Osaka Screening System、ヨース)は、子供の隠れたSOSに気づき、潜在的に支援が必要な子供や家庭への適切な支援を行うことを目的に、2018年に大阪公立大学の山野則子教授らが開発した。児童生徒一人ひとりの欠席日数、行動、身だしなみ、家庭環境などの情報を教員がスクリーニングシートに点数式で記入することで、客観的なデータに基づく早期発見と支援につなげようとするものだ。チームで対応方針を決める際の指標にもなる。
現在33自治体、211校に導入実績がある。中には具体的な効果として不登校の児童生徒数が3分の1に減少、遅刻早退などが7割改善という結果も出ている。組織として支援内容の決定スピードが10倍近くも向上したという超えもあるという。
■クラウド上に構築 全国的にサービス開始
本サービスは、パナソニックコネクト㈱との連携により、「YOSS」の機能をクラウド上に構築し、「YOSSクラウドサービス」として12月よりサービスを開始する。クラスの児童生徒について、現在の支援の現状や欠席や遅刻の回数、提出物の回数など、児童生徒の状態について教員が「YOSSクラウドサービス」に数値を入力。そのデータを基にAIによる支援の方向性が出され、自動判定を基にチームとして協議できる。クラウド化することで、教員やスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなど多くの関係者と情報共有が可能になり、客観的な判断と適切な支援ができる。「YOSS」システムを研究開発した山野則子教授は「YOSSシステムをクラウドサービスを展開することで、全国の子供たちの支援の改善と、教員の負担軽減につなげたい」と話した。