3月28日、広島市内で第109回教育委員会対象セミナーを開催。泰山裕准教授・鳴門教育大学はNEXTGIGAのポイントを解説。東広島市教育委員会はGIGA推進の取組、廿日市市立宮園小学校は自由進度学習、広島市立牛田中学校と江田島市立大古小学校はリーディングDXの取組を報告した。なお、所属等は3月末時点。
リーディングDXスクールに指定された広島県江田島市立大古小学校の小宇根教諭がICTを活用した協働的な学びの実践を報告した。
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さとえ学園小学校(埼玉県)の実践を参考に、端末活用のための「レベルアップ型ルール」を作成している。上からゴールド・ブルー・グリーン・イエロー・レッドの5段階あり、レベルアップするほど自由に端末を使うことができる。
初めは授業中のみ使える「グリーン」からスタートし、本校の6年生が考案した7つの「レベルアップの条件」の達成度によってレベルアップする。
デジタルドリルなど学習に関係のあることであれば休み時間に利用可能など自由度が変化するため子供たちは意欲的にルールを守って取り組んでいる。
ICTを活かした授業づくりや日常的な持ち帰りにより児童の端末活用能力は飛躍的に向上した。操作が苦手な子供は得意な子供に教えてもらいながら取り組んでいる。
4年国語の実践では「災害」をテーマに子供がそれぞれFormsでアンケートを作り、他の子供が回答。結果を基にスライドと発表原稿を作成して互いに原稿を読み合ったり、発表の様子を録画したりしてより良いものに修正して全体に発表。学びやすい場所や協働する相手を自ら選び主体的に学んでいた。
6年生は総合的な学習の時間で本市の魅力を伝える動画を作成。移住者への取材インタビュー、写真撮影、動画編集まですべて教員の手を借りずに取り組んだ。体育の授業でチームごとの作戦会議を録画する取組は、教員の評価にも活用でき効果的だった。
動画の活用やオンライン授業にも取り組んだ。4年体育「ハードル走」では単元の始めに「上手に飛ぶための5つのポイント」をNHK for Schoolで学んでから練習に取り組んだ。自分の姿を録画してポイントがクリアできているか自己評価を行い、課題を分析することができていた。
2年生はジャカルタ日本人学校の子供と遠隔交流。町探検で見つけた本市のいいところを自作のクイズで紹介した。5年生は大阪の小学生との交流で互いの暮らしを比較し新たな学びを発見することができていた。
1月に近隣の中学校で行われたJAXAはやぶさ2のプロジェクトリーダーである津田雄一先生による特別授業を小学生は教室からオンラインで視聴。場所等の制限がなく学びの場が広がった。
これまで週末の職員会議で連絡事項を共有してきたが、Chatを使って日常的に連携を取るようにしたところ会議の時間が大幅に削減された。
ファイルの場所や提出期限などはChatですべて共有できるため、会議では「詳しくはChatを見てください」で伝わる。先日は1分42秒で会議を終えることができた。特定の日時だけでなくいつでも連絡できる点も便利だ。
会議や研修のペーパーレス化も進めた。研究授業のための事前研究会では指導案をデータで共有。話し合った内容をその場で修正できアンケートもデジタル化して効率化を図っている。
1月に行ったデジタル研修では教員間でこれまでの実践について交流し、学校全体でICTを使っていこうとする意識が高まった。
2023年度は様々な機能やアプリを実践し本校に合うものを精査できたので、24年度はツールを使いこなしていきたいと考えている。学級通信のデジタル化などペーパーレスの取組も強化する予定だ。
【第109回教育委員会対象セミナー・広島:2024年3月28日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年5月6日号掲載