3月28日、広島市内で第109回教育委員会対象セミナーを開催。泰山裕准教授・鳴門教育大学はNEXTGIGAのポイントを解説。東広島市教育委員会はGIGA推進の取組、廿日市市立宮園小学校は自由進度学習、広島市立牛田中学校と江田島市立大古小学校はリーディングDXの取組を報告した。なお、所属等は3月末時点。
広島市立牛田中学校は2023年度リーディングDXスクール・生成AIパイロット校に指定され、校区の牛田小学校、牛田新町小学校と連携して取組を進めている。長谷川校長が報告した。
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1人ひとりが問題解決する授業づくりを目指して、教員が自らの授業をふり返るための「学びのヒートマップ」を鹿江宏明教授・比治山大学と共同で考案した。
これは単元・題材ごとにICTの活用状況をプロットして個人や教科の傾向を整理・分析するもの。横軸はICTを教員が「教える道具」として使ったのか・子供が「学ぶ道具」にしたのか、縦軸は個別最適な学び・協働的な学びとして、授業中に手元に置いて分析している。
数学ではGoogle Classroomを使って課題を提示し方向性や学び方を示した上で生徒が主体的に学ぶ時間を増やした。他者参照ができ、個別・協働の学びが混在する状況が生まれてきている。
生徒も「他者参照で友達の考えを手元で見ることができるのはとても自信につながる」と非常に肯定的で学びから離れる生徒がほぼゼロになった。
理科でもGoogle Classroomに理科サイトを作り、課題と実験計画などを提示。常時参照でき、授業中は生徒が自ら学習を進めている。生徒全員が実験のショート動画を制作して「分かっていない人に説明する」ことで知識を活用し理解度を高めている。
動画を構成段階から制作することは実は簡単ではない。本校は放送部の制作した動画を教材とした平和学習など動画が身近にあり、さらに、総合的な学習の時間で「YouTuberになろう」と題して動画の企画制作活動に取り組んでいる。
中学校区の3校で先進校の事例から学ぶ研修を実施した。先進校の取組を聞くと意識が変わる。
研修前は、小学校で端末が充電保管庫に仕舞われている時間が多いという学級もあったが、現在、小学校両校ともに毎日持ち帰っていると聞いた。
広島県では以前、「ひろしま型カリキュラム」言語・数理運用科を導入していた。これは資料から必要な情報を取り出し活用してアウトプットする「学び方を学ぶ」カリキュラムである。これを春日井市の学校が参考にしているという。
どの地域・どの学校にもこれまで培ってきた実践があり、これをICTとミックスさせる視点が大切だ。
生成AIパイロット校として生成AIの活用にも取り組んでいる。
国語では「恋人がAI人間だった時、あなたはどうしますか」という内容で国語の視点、道徳的な観点からAIとの向き合い方を考えた。
理科では身近な環境問題について中学生として何ができるか、生成AIと対話しながら自分の考えを整理した。専門用語をプロンプトに使うと生成AIとの対話が高度化することから、プロンプトの立て方を考える中で学習内容の理解が深まるという相乗効果があった。
校務でもアンケートのたたき台などに生成AIを日常的に活用。進路指導資料の自動作成も効率化に有効だった。
【第109回教育委員会対象セミナー・広島:2024年3月28日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年5月6日号掲載