3月28日、広島市内で第109回教育委員会対象セミナーを開催。泰山裕准教授・鳴門教育大学はNEXTGIGAのポイントを解説。東広島市教育委員会はGIGA推進の取組、廿日市市立宮園小学校は自由進度学習、広島市立牛田中学校と江田島市立大古小学校はリーディングDXの取組を報告した。なお、所属等は3月末時点。
廿日市市立宮園小学校は2020年度から自由進度学習に取り組んでいる。
川口教諭は「これは目指す子供像を実現するための1つの方法であり目的ではない。自立した学習者を育てるという明確な目的を持ち、的確な児童理解と深い教材研究の両輪で取り組むことが大切」と話した。
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学校教育目標「自分を育てみんなで伸びる」の下、自立・多様性の尊重・挑戦の3つのキーワードを設定し自立した学び手の育成を目指している。学びの主体は子供たちと考え、多様な選択肢を提供し子供が自己決定する場を意識して自由進度学習を取り入れた。
「すべての時間で取り組んでいるのか」とよく聞かれるが、現状では学期に1回以上「自由進度学習」を行い、総合的な学習の時間(探究学習)を含めると100時間程度、年間時数の1割ほどの学びを子供に委ねている。
教科は算数を中心に、理科など複数教科を組み合わせる場合もある。複数教科とすることで教科を横断して学ぶ経験を積むことができ、時間配分を工夫するなど自己調整する力もつく。
自由進度学習を効果的に実施するため3つの具体的な手立てとして、①学習計画表の工夫、②個の支援の充実、③学習環境の工夫、を意識して授業づくりを行っている。
単元の始めにやるべきことを明確に示した「学習計画表」を子供と共有。1時間ごとの学習内容や学習の場、教科書のページや学習プリントがひと目でわかるようにしている。
単元内の学ぶ順序に選択できる部分を設け、1時間の学習にも「必ずやり終える学習」と「自分で決めて自由にやる学習」の2つを用意。学習内容や範囲を選択できるようにした。
発展的な学習はやっても、やらなくてもよく、子供たちは自分で決めながら学びを進めている。
個別に取り組むためのポイントは学習プリントづくりにある。「学習内容が明確で質問が出ない」こと、スモールステップを意識して学力が低位の子供が迷わずに進めていけるものを作成。一斉授業で大切にしていることをプリントに落とし込むようにしている。
子供たちは自分で学習を進め、各々のタイミングでチェックテストに取り組む。採点を待つ時間が生じないよう、アプリで作成して自動採点できるようにした。教員は実態を把握して個別に支援。子供同士で教え合う場面も多い。
空き教室を活用して体験的な学習ができる「学習コーナー」も設置。学んだことを繰り返し体験できる環境で何度もアウトプットして学びを深めることができるのが自由進度学習のメリットだ。
3年生の算数「重さ」と理科「物の重さを比べよう」の単元を組み合わせた学習では、砂や水で1㌔を測ったり、粘土やブロックで形を変えて重さを確認したり、同じ事象を異なるもので繰り返し体験した。
これも全員が取り組む「学習コーナー」と選択式で学びを深める「発展的な学習コーナー」を用意している。実際に使う道具で説明書を作って見やすい位置に掲示しており、進め方がひと目でわかる。プリントやコーナーに取り組むとスタンプがもらえるビンゴも用意している。
【第109回教育委員会対象セミナー・広島:2024年3月28日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年5月6日号掲載