3月28日、広島市内で第109回教育委員会対象セミナーを開催。泰山裕准教授・鳴門教育大学はNEXTGIGAのポイントを解説。東広島市教育委員会はGIGA推進の取組、廿日市市立宮園小学校は自由進度学習、広島市立牛田中学校と江田島市立大古小学校はリーディングDXの取組を報告した。なお、所属等は3月末時点。
東広島市教育委員会はGIGAスクール構想推進に向けた取組に力を入れている。指導課情報教育推進室の徳満室長補佐兼指導主事が報告した。
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本市は広島大学教育ビジョン研究センター(EVRI)の草原和博教授と共同で「広域交流型オンライン社会科地域学習」に取り組んでいる。
これは市内の複数の小中学校と学習対象の地域、広島大学をオンラインでつないで遠隔授業を行うもの。草原教授が全体の進行を執り行い、各教室の担任はT2として教室で課題等について考える際に進行役を務める。
大学は豊富な知見を活かして魅力ある単元を学校に提供。学生が市内各地からリポートや関係者へのインタビューを中継してリアルな情報を学校に届ける。
教室では子供たちが質問したり課題について話し合ったことを発表し合ったりして双方向で学びを深めている。
消防署と連携したオンライン社会見学は、通常は見ることのできない場所を見学できる、小さな道具を大きく映して全員で見ることができる、子供たちは教室にいるため板書を活用し見学後すぐに学習をふり返ることができるなどオンラインならではの良さがあった。
県外や海外との交流も実施。4年生は「防災訓練だけでくらしを守れるか」をテーマに北海道、鹿児島県の子供ともつながった。地震が起きた際の対応として、北海道霧多布の学校は海岸沿いに位置するため津波に備えて高台への避難訓練を行っている。一方、鹿児島県硫黄島にある学校は火山の噴火に備えて船に乗って避難できるよう港に向かう。子供たちは地域によって避難の仕方に違いがあることを学んだ。
2022年度にモルディブ共和国の教育担当大臣が本市の学校を訪問したことをきっかけに、モルディブの子供たちとオンラインでつながり、英語でそれぞれの国や学校を紹介する取組では、日本のアニメやキャラクターを紹介するとモルディブの子供たちから「知っている」と声が上がり、互いに喜んでいた。
教員のICT活用指導力の向上にも力を入れて取り組んでいる。
ICTを使うからこそ効果的にできる4つの活動「調べる」「記録する」「表現する」「つながる」に必要な知識・技能を整理して「タブレット端末活用術」というテキストにまとめ、これに対応するICT活用指導力チェック表を作成。チェック表で自分のICT活用指導力をふり返りつつ、テキストを使って個人研修ができる仕組みだ。
年度当初に実施する教職員アンケートでICT活用指導力の定着度を把握するとともに、教員が指導しにくいと感じる内容に焦点を絞って研修を行っている。
教職員用ポータルサイトには授業に役立つ情報のほか、月1回実施している先進的に取り組む教員の実践を紹介するオンライン研修のアーカイブも掲載。2023年度は端末活用の日常化をキーワードとして、考え方や実践事例をデジタルコンテンツにまとめて掲載し、いつでも学べる環境を整備することで、市内の教員のベクトルを揃えて取組を進められるようにした。
情報教育推進室が週1 回発行する情報教育広報紙「GIGAっつ」で各校の先進的な取組などの情報も提供。定期的に発行して現場の教員に周知を図り、校内研修の資料などにも活用されている。
東広島青年会議所と教育委員会が共催で小中学生を対象とした「ICT作品コンペ」を開催。プレゼンテーション・プログラミング・デジタルアートの3部門があり、子供たちはパワーポイントやスクラッチ、ペイントツール等を使って作品を制作している。
2023年度のプレゼンテーション部門中学校ブロックの最優秀賞の作品は、高齢者と子供が触れ合う機会を創出するプロジェクト「メモリメイン」をアピールした。
タイピング能力の向上のため、年3回タイピング大会を開催。「1分間に40文字程度入力できる速さ」の参加基準を設けており、2023年度は延べ2177人の児童生徒が基準をクリアした。
【第109回教育委員会対象セミナー・広島:2024年3月28日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年5月6日号掲載