2月6日、福岡市内で第106回教育委員会対象セミナーを開催。山本朋弘教授・中村学園大学は学校・地域・教委が連携した学校DX、福岡市教育委員会はダッシュボード構築、鹿児島市教育委員会・奈良県立教育研究所はGIGA第2期に向けた取組、福岡市立百道浜小学校はICTを活用した授業改善について報告した。
福岡市立百道浜小学校の酒井校長は端末を活用した授業改善と学校DXの取組を報告した。
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校内全体でICTを活用した授業改善に取り組むため定期的に実践を共有しアップデートを図っている。夏季研修では教員1人ひとりのニーズやキャリアに合わせて少人数で行う実践交流会を実施。全員が発表する場を設け、思いや悩みを伝え合ったことでより主体的な研修へとつながった。
20年度から継続している校内ICT研修も教員のニーズに応じて柔軟に開催。ビジョンの共有=どんな子供を育てたいのかとICT活用能力の具体化=そのために何ができるようになるのかに重点を置いている。
GoogleWorkspaceを活用した情報共有も盛んだ。学年のclassroomで教材を共有し、たたき台としてコピー&アレンジ。クラスの実態に合わせて作り替えやすくなった。「得意な人がつくってわたす」意識のもと、ミニアンケートなども共有している。こうした取組はICT推進リーダーを核としたICT推進部会から各学年、学年部へと段階的に派生。組織的な推進によって、職員室内で日常的にICT活用について学び合う雰囲気ができている。
学校だけでは子供の学びは進まない。積極的に保護者や専門家と連携し共にICTを活用する姿勢を意識している。
21年度1学期から取り組んでいる端末の持ち帰りは、事前にリーフレットの配布とオンライン学校説明会で保護者の理解を促進。試行期間を設けて段階的に進め、保護者アンケートをもとに改善を重ねた。端末持ち帰りは保護者のICT活用の意識化にもつながる。
コロナ禍に挑戦したオンライン授業参観は約74%と高い参加率で高評価を得た。
高学年の宿泊行事前には1週間のオンライン学習期間を設定。これまでの経験を活かし双方向型のオンライン授業に取り組んだ。
22年度からはデジタル・シティズンシップ教育を推進。子供たち自身が端末の使用ルールを決めるなど主体的に考える機会を創出し、オンライン出前授業の様子を学校だよりで発信して家庭とともに取り組んでいる。
今年度は校務DX化チェックリストに基づく自己点検結果を改善につなげるべく、「ちょこっと学校DX」として、DXが当たり前になる環境づくりに取り組んでいる。
例えば、授業研究会や学年協議会をクラウド化してclassroomで内容を共有。授業と研修の相似形をつくり、教員がDXの良さを感じ取ることができるようにした。
授業参観や公開授業の出席確認はFormsで実施。名簿を提示しないため個人情報保護にも役立つ。PTAと共催したデジタル・シティズンシップ教育の講演会は出席確認・アンケート・資料をまとめてQRコード化。教科等の研修会・研究大会でも資料をQRコード化し新たな研修への意識変革を図っている。
教育・校務のDXは意思決定を行うトップ次第。管理職もまずやってみる意識が重要だ。20年12月から始めた校長発信の児童アンケートも意識化の継続につながっている。校長として少し先の未来を見据え学び続ける姿勢で取り組む。
【第106回教育委員会対象セミナー・福岡:2024年2月6日 】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年3月4日号掲載