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教育ICT

学校徴収金システムで帳票作成・確認作業がゼロに 船橋市立宮本小学校

2023年12月6日

多様な児童生徒に対して個別最適な学びと協働的な学びを提供するためにも教員の働き方改革は必須である。クラウドツールの校務利用は広がっているが、それでは対応しきれないものが教材費などの学校徴収金会に関する業務だ。船橋市立宮本小学校(秋元大輔校長・千葉県)では学校徴収金システム「学校モール」を今年度から導入し、多くの帳票作成・確認作業がゼロ化。同じ悩みを持つ市内各校から問い合わせが届いている。事務職員の川名祥恵氏と鈴木圭教頭に本取組について聞いた。

左から事務職員の川名氏と鈴木教頭

左から事務職員の川名氏と鈴木教頭

学校徴収金は大きな課題だった

教材費やPTA会費などの学校徴収金については船橋市の事務職員の会合等で、市内統一した仕組みとしたい、かつ保護者と業者間で済む仕組みとしたい、しかし難しいという議論が長らくありました。

船橋市では学校徴収金について、事務職員と教頭が大きな役割を担っています。しかし若手の事務職員は経理の実務経験があるわけではなく、帳票を起こすだけでも負担感があります。特に本校は1100人以上の児童がおり、学校徴収金に係る帳票の作成などに膨大な時間が必要です。また、児童の転出入で生じる精算の管理にも時間を費やしています。さらに、学校によって使用する金融機関が異なること、学校ごとに異なる帳票の書式を使っていることで学校を異動すると、今までの方法が全く適用されないという現状がありました。

円滑な導入に向けて1つひとつ課題を解決

一方で教職員の働き方改革に向けた大きな流れが起きており、普段の学校業務もWeb掲示板の活用やクラウドツール等で改善が進んでいます。

そこで、学校徴収金についても、何とか保護者が直接業者に支払う仕組みにしたいという強い要望を伝えたところ、いくつかの仕組みを販売代理店から紹介して頂きました。その中で普段、保護者が使っている銀行口座等を使って複数業者の教材費の支払いが一括でできる学校徴収金システム「エデュケーショナル 学校モール」の導入を管理職に相談し、賛同を得ることができました。

6月に新しい学校徴収金納入方法の変更についてお知らせを通知しましたが、保護者からも理解を得ることができ円滑に進めることができました。その要因の1つが、保護者負担を増やさなかったことにあるのではないかと考えています。

「学校モール」導入にあたり保護者負担になる利用料や手数料は、前年度の会計処理を見直し、PTA会費と学級費を減額することで捻出し、保護者負担が増えないようにしました。

学校が必要になった作業は、各家庭の登録口座利用申込書等の提出と学校モールへの登録作業への依頼です。届出印や記入内容の確認作業など初年度はある程度時間が必要ですが、次年度からは新入生のみの作業になります。

学級費についても業者払いとするため、これまで可能としていた個人支払いでの購入による立て替え払いは不可とするなど、本システム導入にあたりこれまでのやり方を修正していきました。

導入後は帳票がゼロに チェック作業も大幅減

9月に1回目の振替がありましたが、本システムで支払いを行う項目についての帳票作成は学校口座への入金がないためゼロになり、管理職による確認作業も大幅に軽減しました。未入金の初期対応は学校モールが担い、かつシステム上でもひと目でわかります。
学級費については前年度まで各クラスで購入した内容をまとめ、保護者に会計報告をしていましたが、今年度は業者から発行された内訳書を学校Webサイトにアップし保護者へお知らせすることで、こちらも効率化が進んでいます。PTAにとっても、年度末に各クラスで必要であった帳票監査がなくなり、本システム導入のメリットは大きいと感じています。

改革の方法を市内に広げる

本校で「学校モール」を導入したことで、市内各校から問い合わせが届いており、注目度の高さを感じています。市内では、会計事務は事務職員が中心になっている学校、教頭が中心になっている学校と様々ですが、学校により学校徴収金の取り扱いが異なることは大きな負担となっています。そこで来年度の船橋市の事務部会で、教頭と連携を取りながら事務職員が中心となって進めることを提案したいと考えています。

本業務の担当を決めることで、市内全域で広がるような第一歩となれば良いと考えています。

◇  ◇  ◇

「エデュケーショナル 学校モール」を提供している(株)サンワは図画工作教材やアプリ等を提供している教材販売会社。販売管理を簡便化するECモールを開発・運用する中で学校の「販売・集金に関する事務処理・督促・会計報告作成作業から解放されたい」というニーズに応えるため、本システムを学校向けに開発。2019年より提供している。

想像以上に負担感が大きい学校徴収金業務
鈴木圭教頭

本校では早期に校務におけるICT活用に着手し、欠席連絡システムやクラウドツール活用によるペーパーレス化などの業務改善が進んでいます。また、Web掲示板の導入で会議も短縮され、従来数時間かかっていた内容が短時間ですんでいます。

現金を扱う点で他の業務とは異なる性質であることから、唯一着手できていなかった学校徴収金についても、今年度からスタートを切ることができました。

本校教頭になって3年目ですが、学校徴収金に関する業務は想像以上に負担感が大きいものでした。出納簿と通帳等とのチェックは1円でも違うと最初からやり直す必要があります。特に、会計の締めと学期終わりの時期である10月は通知表の確認作業と重なるため大変苦労していました。

本システム導入により学校徴収金に関する作業が激減し、教職員と向き合う時間や他の業務に集中することができました。校務の情報化モデル校を視察した他校の教頭からは「宮本小学校の取組の方が進んでいるのではないか」という声もあがっています。「学校モール」の導入は画期的で、働き方改革に一石を投じる仕組みであると感じています。今後も、必要な業務改革は勇気をもって進め、教職員が子供と向き合う時間を確保して、授業改善や働き方改革へとつなげていければと考えています。

 

■詳細・問合せ=https://info.gakko-mall.com/

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年12月4日号掲載

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