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教育ICT

【リーディングDXスクール】六ケ所村立第二中学校「単線型から複線型へ 他者参照が日常化(第49回全日本教育工学研究協議会 授業公開より)

2023年12月5日

第49回全日本教育工学研究協議会(JAET)全国大会・青森大会が10月27・28日に三沢市と六ヶ所村で開催され、約1000人の教育関係者が集まった。JAET大会が東北で開催されるのは第39回の宮城大会以来2回目。青森県での開催は初。初日は六ヶ所村の2小学校・1中学校・1高等学校の授業が公開された。授業公開を行う六ヶ所村は学校情報化認定事業で先進地域に認定されており、1人1アカウントを地域で先行して配備した。本青森大会の実行委員長を務めた東北町立東北小学校・石山宏一校長(青森県南教育工学研究会会長)は「個別最適な学びと協働的な学びの実現のためにどうすれば良いかについて研究を進めてきた。チャレンジの途中経過として皆さんの参考になればと考えている」とあいさつ。リーディングDXスクールとして指定されている六ヶ所村立南小学校と第二中学校の授業を紹介する。


既習事項を基に発展問題を皆で議論し合った

既習事項を基に発展問題を皆で議論し合った

ルーブリックにも「白紙共有」「他者参照」などのキーワードが盛り込まれている

ルーブリックにも「白紙共有」「他者参照」などのキーワードが盛り込まれている

第二中学校では「単線型授業から複線型(クラウド活用型)授業への改善」を教員が共通理解し、生徒が自分で学習過程を構築し、主体的に学び続ける力の育成を目指している。

授業が公開された数学、公民、理科では、いずれも学習の流れを生徒に示し、生徒自ら学びを進め、クラウドツールを利用しながら協働的に取り組んでいた。「白紙共有」「他者参照」「途中共有」などのキーワードについても生徒と共有し、学び方を鍛えるために重要であることを意識化させていた。

■少子高齢化問題を3つの切り口で検討

労働力不足対策に関する様々な情報を収集して課題解決案を各自でまとめる

労働力不足対策に関する様々な情報を収集して課題解決案を各自でまとめる

互いの考えを見て歩き対話する時間も設けていた

互いの考えを見て歩き対話する時間も設けていた

3年社会「私たちの暮らしと経済」では、少子高齢化による労働力不足という社会課題について国や地方がどのように取り組んでいるのかを調べ、六ヶ所村で取り入れるべき施策やアイデアをグループで討議していた。

生徒は教科書やインターネット検索によるニュース、国民生活白書等を参照して資料を収集。

少子高齢化対策として「女性雇用」「外国人雇用」「高齢者雇用」について考えられる課題を調べ、整理してまとめ、報告し合った。文化やコミュニケーション、就労ビザ、年齢層や性別による意識の違いなど様々な話題が上がった。ある生徒は「高齢者の労働力を増やすと意識改革が進みにくくなり、女性雇用や外国人就労を妨げる可能性があるのではないか」と指摘した。

ふり返りでは「他者とのかかわりで発見したこと」「できるようになったこと」を盛り込むことを意識して行っていた。

2年理科「電流」では、個人で学習を進めた後、発展問題を皆で議論し合っている姿が見られた。

自ら調べて対話する学び方について生徒は「様々なことを調べて報告し合うので、発見が多い」と話した。

「課題設定」「ふり返り」が能動性を左右する
宮城教育大学教職大学院 菅原弘一特任教授

第二中学校ではクラウドとは何か、から始まった2年間であった。「他者参照」により自分の考えが「更新」され「自分の考えを持つ」という経験の積み重ねが最も重要。「課題設定」と「ふり返り」が生徒の能動性を決める。生徒は確実に変わっており、これからも進化していくだろう。

学習規律については全体をそろえるためのものと考えるのではなく「互いを思いやること」「考えを共有できること」と、新しい学びを進めるための考え方に更新していった方が良いのではないかと考えている。

複線型授業については1時間単位ではなく1単元単位で考える方が良いだろう。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年12月4日号掲載

【リーディングDXスクール】六ケ所村立南小学校「地元の未来」真剣に討議(第49回全日本教育工学研究協議会 授業公開より)

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