2023年度文科省補正予算案が閣議決定し、11月29日に成立した。予算案によると、GIGAスクール構想第2期関連で2824億円を計上。注目されたGIGA端末更新費用については2643億円。このほか高等学校段階における高度なプログラミング、文理横断的な探究学習等を教育課程内外で実施するDXハイスクール事業に取り組む。GIGAスクール運営支援センターの強化、リーディングDXハイスクール事業等も継続。
GIGAスクール構想で1人1台配備された端末更新の準備が始まる。文部科学省は今後、5年程度をかけて計画的に端末を更新するための予算を盛り込んだ。端末の故障時に対応できるように予備機も対象。公立学校分として2643億円、国立・私立・日本人学校等の端末予算として18億円を要求している。
補助基準額は1台5・5万円。予備機は人数分の15%以内。補助率は公立・私立・日本人学校3分の2。国立10分の10。
視覚・聴覚や身体等に障害のある児童生徒の障害に対応した入出力支援装置も予備機含め支援。補助率10分の10。
公立学校については基金造成経費を都道府県に交付し、都道府県が市町村に配分する。
高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の抜本的強化のためDXハイスクール事業を実施。DXハイスクールには情報・数学等の教育を重視するカリキュラムを行うための環境整備の経費を支援する。補助対象は、ハイスペックPC、3Dプリンター、動画・画像生成ソフト等、遠隔授業用を含む通信機器整備、理数教育関連設備、実習設備、専門人材等業務委託など。
公立・私立計1000校程度を想定。次のようなカリキュラムを想定している。▼情報Ⅱや数学Ⅱ・B、数学Ⅲ・C等の履修推進(遠隔授業の活用を含む) ▼情報・数学等を重視した学科への転換、コースの設置(文理横断的な学びに重点的に取り組む新しい普通科への学科転換、コースの設置等) ▼デジタルを活用した文理横断的な探究的な学び ▼デジタルものづくりなど生徒の興味関心を高めるデジタル課外活動の促進 ▼高大接続の強化や多面的な高校入試の実施 ▼地方の小規模校において従来開設されていない理数系科目(数学Ⅲ等)の遠隔授業による実施 ▼専門高校において大学等と連携したより高度な専門教科指導の実施や実践的な学びを評価する総合選抜の実施等の高大接続の強化
「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(2023年3月)、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」(同6月)及び「経済財政運営と改革の基本方針2023」(同6月閣議決定)等を踏まえた不登校・いじめ対策を前倒しで緊急実施。
在籍校とつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられる教育支援センターのICT環境を加速度的に整備。
校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)の設置も促進。
スクールカウンセラーによる心理的ケアとスクールソーシャルワーカーによる福祉的支援を複合的に実施。いずれも補助率3分の1。
1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の導入に係る検討経費や研修等も支援する。
都道府県を中心とした広域連携を促進する運営支援センターの機能を強化。2022年度からスタートしており、補助事業は24年度までを予定。ヘルプデスクの運営やネットワーク対応、セキュリティポリシー改訂支援、支援人材育成等、端末活用の日常化を支える機能を想定。自治体間格差の解消を目指す。なお後述のネットワークアセスメント実施促進事業と一体的に行うことも可能。補助率3分の1。
学習者用デジタル教科書の導入や全国学力・学習状況調査のCBT化において十分な通信ネットワーク環境を提供するためのネットワークアセスメント実施の経費を補助。補助率3分の1。
校務での生成AIを活用する実証研究を行う。実証フィールドは4か所。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年12月4日号掲載