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教育ICT

「のすっ子未来教室」でPBLが定着【鴻巣市立中央小学校】

2023年11月7日

埼玉県鴻巣市教育委員会(小学校19校・中学校8校)は、中央小学校(永塚壽一校長)にPC室を再整備した新しい学習空間「のすっ子未来教室」を2022年11月に設置してPBLやSTEAM教育実現に向けた実証研究を行ってきた。10月23日、これまでの1年間の成果を発表した。

PC室を再整備「のすっ子未来教室」

中間発表では向かって右に動画、左には常光小学校の友達が写っている。2台のプロジェクターは6000lmで130インチまで投写できる

中間発表では向かって右に動画、左には常光小学校の友達が写っている。2台のプロジェクターは6000lmで130インチまで投写できる

「のすっ子未来教室」には天井から足元まである大型提示装置を配置し、遠隔地と等身大サイズで授業が行える「RealSizePresenter(リアルサイズプレゼンター)」を導入。プロジェクターは6000lm130インチまで投写できる。

20台の高性能デスクトップ型PCは第11世代インテルCorevProプラットフォーム(※)搭載WindowsPCで、動画編集ソフトや画像編集ソフトも活用でき、ディスプレイは27インチと大型で、個人端末のスペックでは難しい学習に対応できる(※PCの個別認識や運用管理を軽減する機能を搭載)

3Dプリンターも2台用意。机や椅子は可動式だ。

【公開授業】
1年後の学校統合を楽しく仲良く迎える

コメントをもとに高性能PCで動画を修正

コメントをもとに高性能PCで動画を修正

友達からのコメントが記入された大量の付せんを手早く分類

友達からのコメントが記入された大量の付せんを手早く分類

この日公開された51組「総合的な学習の時間(れんげの時間)」では、来年4月に統合される常光小学校の友達を迎えるため、課題を「自分たちが迎える側としてできることを考える」として、各グループで中央小学校の特色や地域を紹介する動画を制作中だ。制作の過程では、情報収集・整理・表現・見直しのサイクルを繰り返している。

本時では常光小学校とも遠隔でつながり、制作中の動画を複数グループが中間発表。大型ホワイトボードには、動画と常光小の児童のどちらも大きく投写されている。

各グループの発表後には口頭で意見や感想を伝えるが、児童は皆、紙の付せんに気付いたことやアドバイスを書き込んでおり、該当グループに渡していた。

児童は手慣れた様子で机の配置を変え、グループ学習ができるようにして皆から届いた付せんを画用紙上に分類。あるグループでは「すぐできること」「考えればできそうなこと」に手早く分類。どこを変更すべきか話し合った。紙の付せんは、似たような意見が多いと一目瞭然なのがメリットだ。

変更点や改善点を決めると、高性能PCに向かって字幕を工夫したり他の写真を探したりナレーションを追加するなど、編集を始めた。ナレーションは静かな別室で録音しているそうだ。

児童は「常光小学校の友達が心配のないように、いろいろなことを教えてあげたい。統合が楽しみになるようにしたい」と話す。

「のすっ子未来教室」については「バリアフリーの学習や国語など、発表し合うときに使っている」、高性能PCについては「かっこいい」「PCは得意じゃなかったけど、6年生に教えてもらった」と話した。

創造力を無限に伸ばす環境へ
並木正年市長

「のすっ子未来教室」では、デジタル環境を駆使して学び合い発表し合う児童の姿が見られる。創造力を無限に伸ばす環境であると自負している。

本教室の設計やPBLのための研修についてはインテルと内田洋行に協力を得た。教育先進都市として発展させるため取組をさらに推進する。

長年の成果を実現
内田洋行 宮村豊嗣執行役員

長年にわたり当社が全国で行ってきた未来教室の実証の成果を「のすっ子未来教室」の環境設計に盛り込んだ。加えて鴻巣市の日本初のフルクラウド環境やSINET活用などが基盤となり、本環境をパワーアップ。円滑なPBLにつながっている。

本取組を全国へ
インテル 高橋大造執行役員

「のすっ子未来教室」は最新のPCを子供たちの手に渡すことができる素晴らしい取組。本取組を全国に広げ、研修プログラムの提供を始めとして全般的にSTEAM教育の普及に貢献したい。

PBLが根付くと学びが楽しくなる
矢野貴指導主事

中央小学校では昨年度より「中央小型PBL」に「総合的な学習の時間(れんげの時間)」や「生活科」を中心に各教科でも取り組んでいる。6年社会では「選挙のしくみと税金の働き」の学習の際、「投票率あげあげプロジェクト」を展開。各グループで「投票する大切さを動画でPRする」「投票箱のひみつを皆に伝える」「選挙啓発ポスター制作」などにPBLで取り組んだ。

4年「れんげの時間」では「多様な社会で生きる」をテーマとし、「展示で学校案内」「段差をなくそう」「曲がりやすい曲がり角」など様々なプロジェクトを展開した。

調査によると、9割以上の子供が「れんげの時間は楽しい」「生活科は楽しい」と感じており、そのうち「とても楽しい」という回答はこの10か月で増えている。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年11月6日号掲載

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