就学前でのICT活用をどのように進めればよいか。近年、ICTを積極的に導入する幼稚園や保育所等が見られるようになった。小学校に入学すると、1人1台の情報端末を活用し始めるわけだが、就学前教育でのICT活用が地域での教育力を高めるための取組として注目されている。
山口県和木町教育委員会(重岡良典教育長)では以前から小中学校でのICT活用に取り組んでおり、実物投影機や情報端末を教師が活用してきた。特に、小中学校と認定こども園が連携して、教員研修を通じてICT教育への共通理解を深めている。
和木こども園(佐伯公夫園長)では、小中学校とこども園で子供たちが日頃から交流する場を多く設定している。年長組の「ひらがな探し」の実践では、園児が小学1年児童とグループになり、情報端末を一緒に活用しながら、身の回りの「ひらがな探し」で遊び、ひらがなに対する関心を高める実践を行った。
小学生が持参した情報端末を一緒に操作することで、操作方法を知り、自分が思う自然や物を撮影することができた。撮影した画像をグループで共有しながら、完成させたひらがなを発表し合うことで、自分たちの思いを伝えることができた。小学生にとっても園児に教えることで自信を高め、自己肯定感の向上にもつながるといえる。活動を通して小学生とふれあい、親しむことで、小学生にあこがれを抱き、就学への期待を高めることができたようだ。
今後は、異なる校種をつなぐための情報端末活用が期待される。幼保から小中、さらには高校につながるために、地域で連携できる体制や環境をより一層高めていくことが求められる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年11月6日号掲載