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教育ICT

対話型生成AIの教育活用 ~生成AIの情報整理能力を活かす

2023年9月5日

英語学習コーチである谷口恵子氏(プチ・レトル代表)は、2023年よりChatGPT・AI活用コミュニティ代表を務めている。本コミュニティの登録者は現在約3万人で学校・教育関係者も多い。ChatGPTのメリットや学校活用事例、ビジネス活用事例を紹介した。

身近な話題で生成AIと対話討議を深める
生成AIの情報整理能力を活かす

私自身、ChatGPT(有料版)は毎日使っています。英語学習や英会話練習、仕事で欠かせないものになっており、仕事の進め方が大きく変わりました。

また、有料版と無料版では、小学生と有能なビジネスマンくらいの違いがあると感じています。有料版にはAPI機能もリリースされ、これを利用した製品が一気に増えています。その日の天気や気温などを始めとするリアルタイムの情報収集は無料版ではできません(ChatGPT無料版の情報は20219月まで)が、有料版ではプラグインを併用することでその問題がほぼ解決されています。

■仕事の進め方が大きく変わる

企業のほか、一部の省庁や学校でも活用が始まっていると聞いています。

ビジネス利用では、セミナーや製品のプロモーションやSNSに投稿するためのテキストのブラッシュアップ、マーケティングサポート、プレスリリースの原案作成、UIデザインの観点確認など、既にユニークな視点での活用が始まっています。

文章にしろ問題にしろ「たたき台」を作成してから検討できるため、質の向上が期待できます。

社会人の英語学習を指導していますが、英語学習には特に有効です。レベルや問題形式などの条件を指定することで英文の問題をすぐに作成できますし、生徒が自分でChatGPTを使ってある程度の疑問を解決した上でさらに深めたい部分をコーチングすることもできます。

ライティングやアイデア出し、資料作成やアンケート分析などの作業も大幅に効率化が進んでいます。

■授業では「体験」の場をデザインする

ChatGPTはユーザのニーズに合わせることが得意ですが、日本特有の情報にはまだ弱く、例えば学習指導要領の詳細については学習できていない部分もあるようです。

英語の情報は得意なため、例えばCEFR(セファール)でレベルを指定するとそれに適した問題を作成できます。

コミュニティでは様々な事例が集まっています。

道徳で生成AIと対話

札幌国際大学の安井政樹先生は、小学校6年生「道徳」の出前授業で「友達とはどういう人のことか」についてクラスで対話をしながら考える際に子供自身がChatGPTに聞いてさらに深めるような活用をしました。

AIが答えてくれるなら、もうみんなで話し合わなくていいのでは」と揺さぶりをかけたところ「AIにずっと頼ると、考える力も育たないし良くない」「それぞれの考えをAIは反映できないし、1人ひとり違うからこそ豊かなんだと思う」「AIの回答を1つの意見として受け入れればいい」などの意見が出たそうです。

さらに「子供はAIチャットを使えないルールである」ことを取り上げ、その理由について一緒に考えることで、AIとの付き合い方について考えを深めていました。AI活用を体験したからこその学びがあったようです。

安井先生は「AIはカーナビのようなもの。自分が知らない地域はカーナビの案内を鵜呑みにしてルート案内の通りに運転するが、知っている地域についてはカーナビの案内を批判的に見ることができ、よりよい道を主体的に選ぶこともできる。AIとの付き合い方も似ている部分があるのではないか」と話しています。

子供にとって身近なテーマでAIを活用することで、より批判的に考えることができ、学びの過程の重要さやAIとどのように付き合っていくべきかに子供自身が気付くことができたようです。

生成AIで英語添削

三重県立津東高等学校の笹山基起先生は1年英語の授業で、英語添削の仕組みをChatGPT(有料版)API(有料)を使って構築していました。もともと、生徒の回答をGoogleフォームに入れ、そこからスプレッドシートに出力し、ChatGPTに添削結果や重要語句などを出力させてそれを生徒に戻していたのですが、さらに迅速に生徒に添削結果を戻すためにシステムをアップグレードし、アプリ化したそうです。この仕組みであれば、添削結果を授業時間内に生徒に提供できます。

笹山先生はChatGPTAPIを個人負担で使用していますが、こうした費用について行政の支援があると助かると考えています。

AIで絵本制作

愛知淑徳大学の佐藤朝美先生は、情報科教員志望の学生が所属するゼミでAIを使った絵本制作を課題としていました。文章はAIにプロンプト(指示)を与え、それを手直しして作成。画像はMicrosoftBing Image Creatorを使用する学生が多かったようです。その上で事後に、AIを教育現場に活用する際のメリットとデメリット、大学でAI活用が禁止されたことについての意見などを収集してゼミ生に共有していました。大学時代にしっかり生成AIの使い方を学びたいという意見が多かったようです。小学校道徳の事例と同様に、自ら使用・経験してから考えることに意味があるのではないでしょうか。

討議に生成AIも参加

沖縄県の中龍馬先生は小学校5年社会「自然条件と人々の暮らし」で対話型AIPerplexity.AI(パープレキシティ)」を使用しました。これは最新のソースを参照して提供し、かつそのソースも表示されます。どの情報を基にその回答が提供されたのかがわかり、無料版ChatGPTより詳細な回答が期待できます。

授業では「野辺山高原でジャガイモを生産しない理由」について子供同士で議論した後、対話型生成AIで検索して回答を得ることで、子供同士の対話では気付くことのできなかった新たな視点に気付くことができ、その後の議論に広がりが出たそうです。

生成AI同士で議論

昭和女子大学附属昭和中学校のスーパーサイエンスコース3年生では、NPO法人ニュークリエイター・オルグの特別授業で「国公立と私立、どちらを受験すべきか」などのテーマを決めて「AIに人格を持たせ議論させるプロンプトを考える」授業を行いました。同校では全校でAI活用教育を進めるため、夏休み中に教員研修を行うと聞いています。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年9月4日号掲載

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