児童生徒の主体的な学びを支えるために、情報端末の活用においてスタディログ(学習履歴)を授業づくりにどう活かすことができるのか–GIGAスクール構想後の解決すべき課題と言える。
行橋市教育委員会(長尾明美教育長・福岡県)は、平成27年度から教室のICT環境整備を進めており、普通教室のICT化を県内でもいち早く取り組んできた。そして、福岡県教育委員会指定の重点課題研究を推進して3年目である行橋南小学校と仲津中学校が、「学びの地図」と「スタディログ」を活用した授業実践の在り方を深めている。
行橋南小学校では、「学びの地図」には、ICT活用の「目的」、「場面」、を明記する。このICT活用の場面は、文部科学省が示した「学校におけるICTを活用した学習場面」を参考にした。活用や学び方を記録するスタディログとして、「みなみっこログ宝箱」を蓄積し、それらを子供たちが主体的に活用できるようにした。
仲津中学校では、単元を見通した生徒主体の授業づくりをめざして、単元のどの学習段階でICTを活用することが効果的であるかを「学びの地図」で明らかにするようにした。児童生徒に身につけさせたい資質能力を明確にし、単元の学習課題を児童生徒と共有して、学習の見通しを持たせて、主体的な学びが進められるようにした。
これら2校は、ICTの基礎的なスキル向上にも日常的に進めている。タイピングのスキルは格段に向上して、児童生徒が端末を学習ツールとして使いこなしている。
このように、学びの地図・スタディログ×ICTにより、教師主導の授業から児童生徒の主体的な学びに転換できる可能性が見えてきた。児童生徒の学びを伴走する教師に近づくことができるようだ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年8月7日号掲載