GIGAスクール構想で1人1台の情報端末が整備され、授業で情報端末をどう活用するか、その効果的な活用に関心が集まっており、授業改善にどうつなげるかが問われている。
福岡県那珂川市(木下尊雅教育長)では、福岡県の重点課題の研究指定を受けて、「ICTを主体的・効果的に活用し、豊かな未来を創り出す児童生徒の育成」をテーマに掲げ、3年間授業研究を進めてきた。特に、ICTを学習に活かし、自分の個性伸長に活かす児童生徒の育成を目指し、授業改善の視点を踏まえて「那珂川スタンダード」と「ICTの効果的活用」をベストミックスさせた授業研究を進めている。この「那珂川スタンダード」は、従来の授業展開を見直して、「学習課題の明確化」を図り、「ふり返りや理解深化、自己評価」の時間を確実に確保するものである。
安徳北小学校(佐藤円校長)と那珂川中学校(中本克典校長)は、情報端末を効果的に活用して、那珂川スタンダードを基盤とした授業改善に取り組んでいる。その授業改善の視点として「コミュニケーション能力」「自己調整力」「情報活用能力」の3つからアプローチしている。2校では、学習の方法や内容を教師が提示するのではなく、それぞれの学年の段階に応じて、児童が選択したり決定したりする場面が見られる。また、学習をふり返る自己省察の時間が確保されており、実践の成果が実ってきている。
那珂川市の取組のように、授業でのICT活用は、そもそも「授業づくり」の一環であり、他の方法とうまく組み合わせる=ベストミックスさせて考えていくことが今後求められる。なお、那珂川市の研究公開は、11月15日を予定している。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年7月3日号掲載