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教育ICT

【出展社 事例紹介】ドリル教材から端末活用が浸透<豊中市立刀根山小学校・大阪府>~東京書籍

2023年6月2日
教育総合展EDIX関西

コロナ禍により学習や校務のICT活用が進んだ学校は多いが、収束するに従い元に戻る学校とこれまでのやり方の改善に活かしている学校があるようだ。GIGAスクール構想により情報端末(iPad/LTEモデル)を整備した豊中市立刀根山小学校(山地輝宜校長・大阪府)ではコロナ禍に児童の学習の機会の保障と教員の働き方改革を進め、現在もそれを継続・充実している。2月17日、同校の1年生と6年生の授業を取材した。同校では市内小中学校のリプレイスパイロット校として、PC室のメディアセンター化にも取り組んでいる。

1年生
文章題の「たす」「ひく」 読解ポイントを確認

文章題を読み「たす」「ひく」を表す表現を解説動画で理解(1年)

文章題を読み「たす」「ひく」を表す表現を解説動画で理解(1年)

13組の授業はハイブリッドで行われており、授業者の岡村芽玖教諭は、自宅で授業を受けている児童に時々話しかけながら進めていた。

児童は前時の復習としてデジタルドリル教材「タブレットドリル」に取り組んでいる。ログインもスムーズだ。端末の画面には、教員から届いたプリントのタイトルが並んでおり、「おもいだそう」「チャレンジ」「フォローアップ」など、内容の難易度もわかる。計算を端末上で行っている児童もいる。自動で採点され、結果発表では、何問中何題正解で何分かかったかが表示される。

その後、新しい単元「たすのかな ひくのかな」で、タブレットドリルの解説動画「算数解説チャンネル」を皆で視聴し、文章題でどの言葉が「たす」や「ひく」に当たるのかを考えた。

「どんな図なら簡単でわかりやすいかな?

岡村芽玖教諭は児童に、解説動画の問題「ひろしさんは前から6番目にいる。ひろしさんの後ろに4人いる。全員で何人いるか」の内容を図に表現するように指示。

児童は紙のノートに、棒や〇(マル)、棒人間など思い思いの図で表現。岡村教諭は何人かの児童のノートを情報端末で撮影して皆の参考になるように前方の大型提示装置に表示。「一緒に考えよう」と再考を促した。

意欲的に繰り返し学ぶ
岡村芽玖教諭

教員から配信されたドリルを選択して取り組む。「おもいだそう」「チャレンジ」「フォローアップ」と色分けされている(1年)

教員から配信されたドリルを選択して取り組む。「おもいだそう」「チャレンジ」「フォローアップ」と色分けされている(1年)

1年生でも予想以上にスムーズに取り組んでいる。

タブレットドリルは問題をクリアするとメダルが増えるので、児童同士でメダルの数を報告し合う様子がよくみられる。プリント教材よりも意欲的に既習事項の繰り返し学習に取り組んでおり、それが定着につながっていると感じている。

授業では、教員がドリル問題を選択して配信しており、配信された問題がすべて終わった児童や、復習や課題が早く終わった児童は、学校や自宅等で自由にタブレットドリルに取り組んでいる。

6年生
過年度の学びを解説動画でふり返る

既習事項の「最小公倍数」を解説動画で確認した(6年)

既習事項の「最小公倍数」を解説動画で確認した(6年)

64組では「速さ比べ」の単元で「15キロメートル離れているアとイの駅間を8分で走る」「12キロメートル離れているウとエの駅間を7分で走る」場合、どちらが速いかをどう求めるのかについて考えていた。

まずタブレットドリルの解説動画を全員で視聴し、「分速=単位時間あたりで比べる」ことを皆で確認してから、各自で動画の例題と解説問題に取り組んでおり、それができた児童は、授業冒頭で示した問題に挑戦した。

清永憲司教諭は児童の進捗を確認し、つまずいている児童のために5年生で学んだ内容「倍数&公倍数」の解説動画を提示したり、板書で説明したりしてフォローした。

この日の課題を解き終わった児童は、各自の興味に基づきタブレットドリルに取り組み、模範解答やコメントを見ながら進めていた。

端末で宿題を配信・管理
清永憲司教諭

別ウインドウの計算内容は問題文と重ねて見ることもできる(6年)

別ウインドウの計算内容は問題文と重ねて見ることもできる(6年)

6年生は3月には学習がほぼ終了しているため、それぞれの力に合わせた問題に取り組んだ。

高学年は学力差が出始める時期。そこで授業では、過年度の学習をふり返り、ポイントを押さえてから学習に取り組むためタブレットドリルの解説動画をよく活用している。

タブレットドリルを使う宿題が増えており、英語専科教員や教科担任と連携して教科が重複しないようにしている。

2022年度の夏休みはタブレットドリルを宿題とした。児童は、自分の力に合わせた問題に取り組むことができ、採点もすぐに自動ででき、わからない場合は解説動画を参照して復習できるので、主体的に学習を進めることができる。

教員にとっては、宿題のためにプリントを印刷する必要がなく、履歴が残るので進捗管理もしやすい。

学び直しやすく「定着」が進む

山地輝宜校長

山地輝宜校長

本校は職員が60人と多く、職員会議にも時間がかかっていたが、コロナ禍の臨時休校時にはクラウドツールやWeb会議システム等を使い、オンラインで進めるようにした。

校務分掌として2021年度からICT推進委員会を設置し、22年度からはICTと教科研究の関係の深さからICT・教科研究推進委員会とし、各学年から1人ずつの担当者で構成。教員のICT活用能力の得意不得意により学習保障の在り方が大きく異なることがないように、15分程度の説明会を複数回開催して都合の良い時間に参加できるようにした。豊中市教育委員会からICT支援員が配置されており、苦手な教員を主に支援している。

クラウドツールを活用したハイブリッド授業に挑戦したところ、マスクごもりにより教員や友達の声が聞こえにくい等の課題が解決した。さらにグループ学習や発表活動、オンラインによる発表、適応指導教室「ほっとルーム」での活用等が始まり、情報端末を積極的に活用するようになった。

情報端末の持ち帰りは当初、紛失や故障の可能性等の懸念もあり、反対意見も多かった。そこで夏休みに「タブレットドリル」を宿題とすることから始めたが、現在はどの学年も情報端末を勉強道具と考えて日々持ち帰って学習している。

「タブレットドリル」は特に高学年になるほど、1~2学年前の復習で威力を発揮しているようだ。授業のほか、時間があるときに自由に取り組むようになっている。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年6月5日号掲載

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