文部科学省は4月20日、「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査」の結果を文科省Webに公開した。それによると、全教科で小学校教科担任制が進んでいる。また、学校行事等特別活動の時数が減り、総合的な学習の時間で「情報」は約6割の学校で行われる予定である一方で、小学校では5・6年のプログラミングに関する学習の実施時間は平均6時間であった。(小学校等1235校/中学校等1243校を無作為抽出/調査実施日2022年12月~23年1月)
学級活動以外の特別活動(児童会活動、クラブ活動、学校行事)に充てる年間授業(個別の委員会で放課後等に行われる話合いなどは除く)の2022年度実施(予定含む)について聞いた。
【小学校5年生】総時間数は60時間以下が41・8%と最も多い。そのうち児童会活動については11~15時間(33・6%)、クラブ活動については6~10時間(61・5%)、学校行事は40時間以下(47%)がそれぞれ最多。2018年調査(以下、前回調査)の平均値と比較するとクラブ活動時間は11・2時間から9・1時間に減った。学校行事時間も同様に53・2時間から42・1時間に減っている。
【中学校2年生】(前回調査対象は中学校1年生)特別活動の総時間数は60時間以下が72・5%と最も多く、平均45・6時間で前回調査の52・5時間より減った。そのうち生徒会活動は10時間以下が6割以上(61・4%)・平均10・3時間で前回調査とほぼ同様。学校行事は40時間以下(62・7%)・平均35・3時間で前回調査41・4時間から減っている。
小学校は45分間、中学校は50分間授業が一般的だが、学校独自の工夫として授業1時間あたりの時間を柔軟に考える学校もある。本調査結果によると、小学校で46~54分授業を行っている学校が前回調査より増えた。
総合的な学習の時間の実施計画については取り扱う予定のテーマを複数回答で調査。小学校では「環境」「伝統と文化」「福祉」の順で多く、いずれも8割以上。6~7割の学校で行われているのは「情報」「食」「地域の人々の暮らし」「キャリア」など。このうち「情報」「キャリア」が前回調査よりも増えている。「情報」については3~6学年いずれも40%以上だが他テーマでは学年により取り扱う割合が異なっており、「情報」のみ異なる傾向。
中学校の総合的な学習の時間で実施率が高いのは「キャリア」(95・2%)、「伝統と文化」(72・6%)、「地域の人々の暮らし」(64・1%)と続く。前回調査と比較してほぼすべての項目で上がっており、多様な取組となっているようだ。
プログラミングに関する学習指導の実施時数は5年生5・8時間、6年生6・7時間。「0時間」が5年生で4・8%、6年生で1・5%であった。調査対象校から計算すると5年生で約60校がプログラミング学習をまったく行っていない。学習指導を行っている教科で最多は5年生算数(75・8%)。次いで6年生理科(74・2%)。総合的な学習の時間では、5年生、6年生いずれも4割強。国語や社会、音楽や家庭科で行っている学校もあるが、多くは「5年算数・6年理科」の実施が中心。なお1学年のうち1学級でも該当する状況であれば「実施」として回答している。
クラス内の児童生徒同士のチャットを許可している自治体は39・8%。校内のクラス外の児童生徒と許可している自治体は27・0%。
現端末(GIGAスクール構想により整備した国費補助分)について「購入」は67・2%、「リース・レンタル」は32・7%。リース・レンタル期間は5年間が最多で27・2%。現端末の使用が可能な最終年度は2025年度中が最多で51・7%。端末のバッテリー交換について必要と考えているのは37・5%。必要か否か不明が41・1%。
端末の利活用状況を設置者が把握する方法については複数回答で調査。アンケートや聞き取り調査が最多で73・1%。次いでデジタル教材・学習アプリ(学習eポータルやデジタルドリルほか)の事業者から提供されるデータにより把握する自治体が48・6%と比較的多い。MDM等ソフトウェアで把握している自治体は39・6%。把握していない自治体も5・6%あり、課題である。
指導者用端末の全国の平均整備率は109・5%だが、90%未満の自治体が26・7%もある。ICT支援員やALT等に専用の指導者用端末を確保していない自治体も16・7%もあり、大きな課題である。
指導者用端末の更新時期は端末より若干早い。23年度度中及び24年度中の更新は17・2%。25年度中を含むとこの3年間で約6割が更新予定。校務用端末については23年度、24年度、25年度更新がそれぞれ2割前後。
学校デジタル化や端末利活用推進を担当している教育委員会職員の数も調査。行政職0人が48・1%、教員出身の職員0人が59%、全国平均はいずれも1人未満と衝撃的な結果。次いで多いのが1人(行政職30・8%/教員出身職員27・2%)。5人以上の自治体は行政職3・0%、教員出身教員2・4%。
詳細∥https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年5月1日号掲載