2018年4月に情報科学部を、20年10月に「AI・データイノベーション教育研究センター」を設置し、データサイエンス教育に取り組んできた広島大学。22年度には全12学部を対象に「AI・データサイエンス応用基礎特定プログラム」を開設。23年度は、エキスパートレベル人材を育成するため、大学院に特定プログラム「AIOpsエンジニア育成特定プログラム」を開設予定だ。
本学データサイエンス教育の具体的な取組を4つ紹介する。
文系・理系を問わずすべての学生が社会で期待されている数理・データサイエンス・AIの初級(リテラシー)レベルを習得するための必修科目を中心とした教育プログラム。
リテラシーレベルをさらに進めた応用基礎レベルの学修として、データ分析やプログラミングなどについて学ぶ。
DX教育設備を活用した教育カリキュラム開発や実験・実習の高度化など、デジタルと専門分野とを掛け合わせた教育を進め、日本の産業界などのデジタル化・高付加価値化をけん引できる高度な専門人材を育成につなげる。
ブロック拠点校として、数理・データサイエンス・AIの教育体制の構築およびトップクラスのエキスパート人材の育成などに取り組む。
広島大学では小・中・高校生に向けた教育プログラムも提供している。
科学技術振興機構(JST)の支援による「グローバルサイエンスキャンパス(GSC)」は、地域で卓越した意欲・能力を有する高校生等を募集・選抜し、大学で行っている最先端の講義や実習、研究開発に触れる機会を提供するもの。GSCに参加した高校生は、大学の教員や学生と科学について議論。生徒自身の研究課題に関してポスター作成や、英語での発表などを行い、国際的に活躍できる人材になるための基礎を養う。
小学5・6年生および中学生を対象にした教育プログラム「ジュニアドクター育成塾」もJSTによる支援により展開。
ものづくりを通して児童・生徒が持つ数理・情報分野への興味・関心をさらに高め、革新的イノベーションを起こす傑出したリーダー人材などの育成につなげている。
人文社会科学分野と数理・データサイエンス分野を連携させた、新たな教育も展開する。
人文社会分野のうち、特に教育、経済、経営の各分野の専門性と、数理・データサイエンス・AIの素養をあわせ持つ人材を育成するため、大学院に「教育データサイエンスプログラム」と「ソーシャルデータサイエンスプログラム」を設置する予定だ。両プログラムでは、専門分野の異なる学生が、データ解析などの実践的作業を通じて、ともに課題解決・協働できる科目を開設。産業界、学校現場、行政などの分野で、DXを強力に推進できるエキスパート人材を輩出していく。
本取組は、22年度の文部科学省「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業~Xプログラム~」に採択されている。
(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年4月3日号掲載