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教育ICT

小学校長会で新たな校務用連絡ツールを実証 研究大会トラブルも即時解決 松江市小学校長会

2023年4月4日

松江市小学校長会(島根県)では2022年10月より、業務用コミュニケーションツール「LINE WORKS」を試験導入している。従来の連絡ツールに加えて本ツールを導入するに至った経緯と効果について、22年度の会長である三賀森卓司校長(乃木小学校)、事務局長の田中宜夫校長(八雲小学校)、ICT担当の新田紀久校長(津田小学校)、ICT導入サポートを行う福田一斎係長(松江市教育委員会学校教育課ICT教育推進係)に聞いた。

左上より三賀森校長、田中校長、新田校長、福田係長

左上より三賀森校長、田中校長、
新田校長、福田係長

オンライン分科会のトラブルや対応を関係者全員で共有できた

オンライン分科会のトラブルや対応を関係者全員で共有できた

――松江市小学校長会について教えて下さい

三賀森 松江市小学校長会は計34校の小学校長が所属しており、月1度、学校活動に関する情報交換や相談、教育委員会からの案内について協議・検討しています。

このほか県の小学校長会、教育研究会、体育連盟等4つの組織があり、県庁所在地の役割を果たすために本市の小学校長会のメンバーが各組織の会長等を兼務している関係で、日頃から様々な連絡や相談が届きます。そこで、本市の小学校長会に所属する校長約10名で事務局会を構成し、議題の調整を行っています。

――実証実験として「LINE WORKS」運用に至った背景は

三賀森 本市では保護者に各種のご案内をする場合、一斉メール配信システムを使っていますが、誰がそれを読んだのかわからず、臨時休校等の情報が全員に伝わっていなかったことが過去にありました。

LINE WORKSは個人単位で既読と未読の確認ができると聞き、地域全体で児童の安全を確保する体制づくりの選択肢になるのではないかと考え、まずは校長会でその可能性を検証しようと昨年10月にメンバー全員で利用を開始しました。

――ご多忙の中30名以上の校長先生を巻き込むというのはすごいですね。実際に効果を発揮した場面を教えてください

三賀森 利用開始から2週間後の10月14日、第74回全国連合小学校長会研究協議会島根大会をオンラインで開催することとなり、小学校長会が事務局を行いました。島根県民会館内に配信会場を設置し、Web会議システムで13分科会の討議を全国に配信した際、迅速に各会場でのトラブル対応ができました。例えば「音が小さい」「ハウリングしている」等の報告はLINE WORKS上で行い、事務局員や通信機器業者が内容を確認して対応を決定します。写真による状況報告や指示ができ、直接対応が必要な際も問題を事前に把握していたので効率的に会場をまわることができました。これがなければ、13ある会場を1つずつまわって対処していたところです。このほか、講演者や司会者のマスク着用の有無、開始時間の微調整等、当日の運営で発生した検討事項についても関係者全員で迅速に意見交換しながら進行できました。電話ですと1対1の連絡になるので繰り返し伝言しなければいけませんが、一斉に周知できて大変助かりました。

――実証実験後、今後は学校業務全般でどのような活用の可能性がありますか

三賀森 当初の課題である、保護者連絡での活用を期待しています。LINE WORKSでは目的や対象ごとに連絡できるので、保護者にとっても確認の負担が減ります。

本当に伝えたい内容をきちんと届けられることが望ましいですね。

新田 メールを活用した周知では、受信者側の設定次第では迷惑メールに振り分けられることもあり不達をゼロにすることはなかなか難しいのですが、発信する立場である以上、システムや設定上の不具合であったとしても、学校の責任になります。両者を併用して適宜使い分けることで、学校情報を正しく漏れなく周知できるのではないかと考えています。

田中 特にPTAは年次で役員が変わるので、LINE WORKSは使いやすいのではないでしょうか。当校では現状はLINEのグループで活動をしていますが、LINE WORKSであれば任期終了後の退出するタイミングが難しいといった課題を解決できそうです。

福田 本市では一斉メール配信システムを利用していますが、自然災害など何らかの理由で使えなくなる可能性はあります。また、この数年でSNS等での連絡に慣れた保護者世代が増えてきていることも踏まえると、様々な視点から教育委員会として複数の連絡手段を整備することを検討しても良い時期ではないかと考えています。

■保育・教育向けLINE WORKS導入事例集

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年4月3日号掲載

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