GIGAで何が変わったのか、もしくは何を変えていかなければならないのか。GIGA環境を使うだけで大変な時期ではあるが先を見据えることは重要だ。
まず、教員のコントロールの下で学ぶことから、GIGA環境で様々な学び方を選択して良いということに気付くこと。自分が学びたいことを学べば良い、と教員はもちろん、子供自身も考えることが重要である。
そう考えたきっかけはAIの進化である。膨大なデータからAIが答えを出すようになっている。最初は見当違いの解答も、AIはデータを増やしてどんどん精度を増す。早晩、自分の出した考えが正しいか否かをAIに聞くようになるだろう。ある分野では既に実装が始まっている。一定分野では歓迎すべきだが、すべての判断をAIに任せて良いと考えるようになることも考えられる。これは人類として危機的な状況である。
ではどうするか。自分で考え突き詰めることが面白いという体験を積み重ねて知的欲求を伸ばすことが最も重要になるのではないか。
そのためには授業でAIをたくさん使い、子供がAIに慣れること。次に、教員は戦略的に“雑”になり、何を学ぶかを子供に委ね、学びとは自分が学びたいことを学べば良いと理解することを最終目的とすること。具体的には、大人が考えた学習課題ではなく、子供自身が学習課題を設定することだ。
最初は難しい。特に話し合いで個人的なおしゃべりが始まるようなクラスの場合は厳しいと感じた。まずは様々な選択肢を与えること。次に、教科書等を読んで浮かんだ疑問を引き出すこと。これにGIGA端末がとても役立つ。疑問等をとにかく書かせていく。すぐに集めてコメントしたり共有して取り上げたりする。
それを繰り返すことで、自分の疑問を価値あるものであると理解できるようにする。すると学年の終わりには学習課題を自ら設定できるようになった。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年4月3日号掲載