PTA活動の新たな形が始まっている。コロナ禍による対面機会の制限や教職員の多忙感解消等の様々な課題を解決するためにオンラインツールを導入し、それをきっかけに新たなPTA活動の可能性が生まれているようだ。
コミュニケーションツール「LINE WORKS」を提供しているワークスモバイルジャパンは非営利団体やPTA等を対象にした特別プラン(無償)を2021年10月に発表。本プランの利用者は22年2月には6万を超え、同年4月と11月に開催した同社主催のセミナー「PTA学びウィーク」では総勢2000人以上の申し込みがあった。オンラインツールには様々なものがあるが、LINE WORKSのどのような点がPTA活動を支援しているのか。同社マーケティング部でPTA担当の田中春奈氏に聞いた。
近年の課題を解決できる可能性を感じていただけたのではないかと思っています。
まず、コロナ禍で学校に行く機会が激減しました。また、教員の働き方改革による残業時間の管理や業務内容の精選はPTA活動にも影響を与えています。共働きの家庭も増え、平日に学校に集まる時間の確保も難しくなり、PTA活動の従来の在り方に課題を感じる方もいます。そこで学校に集まらなくても活動できるツールのニーズが高まり、様々なツールを試した結果、LINE WORKSの使い勝手に納得いただけたのではないでしょうか。
メールなど情報発信のツールには様々なものがありますが、多くは一方通行になりがちです。LINE WORKSでは情報の一斉配信はもちろん、双方向なやりとりができ、学校に集まらなくても、スマートフォンやPC等で意見交換をそれぞれの自由な時間で行うことができます。LINEと同じ使い勝手で親しみやすい一方で、LINEとは異なり、管理者が作成したLINE WORKSに管理者が登録した人だけが入れる仕組みで、トークや掲示板、フォルダ、カレンダー、アンケート等の機能を活用できます。43万社以上(23年1月末時点)の企業や学校法人で導入実績があるものです。
トーク機能では、役員や各委員会等の組織ごとにグループを作成して必要な情報にアクセスしやすくすることができます。掲示板機能では全員に対して連絡事項を投稿・閲覧できます。PTAのお便りのような返信不要なものを公開する時に使われています。
ノート機能では、議題を決めて意見交換ができ、議事録としても活用できます。検索機能で過去の議事録もすぐに見つけることができます。
フォルダ機能では、総会資料やイベント写真等Officeファイルや画像ファイルを保存でき、過去の書類を検索できます。
アンケート機能では会議の日程調整やイベント後の意見回収などができます。自動集計ができるので、データをまとめる手間が省けます。
管理機能では利用記録が残りますので、トラブル防止等の工夫をしているPTAもあります。
最も多いのが「対面会議の減少と効率化」です。弊社がPTA役員経験者435名を対象に行ったアンケートによると、PTA活動で非効率だと思うこと1位は「会議のために学校に行くこと」でしたが、その課題がある程度解消しているようです。
卒業式の記念品を決める際も、対面よりもオンラインの方が資料や画像を共有しやすく話し合いが進みやすくなります。
PTAのお知らせを一斉に配信できるので、学校の印刷室に行く手間が不要になり、印刷費が削減できてPTA会費の削減につながる、という声もあります。
連絡先としてプライベートな個人SNSやメールアドレス等の交換が不要になる点も喜ばれています。紙の連絡網作成がなくなった今、貴重な連絡ツールとなっているようです。
お便りや必要な資料がLINE WORKSで共有されるので、USB等への保存や紙に印刷する必要がなく、引継ぎもシンプルになります。
PTA活動について、多くの保護者は学校や子供に関わっていきたいと考えています。一方で、PTA活動に参加するには保護者それぞれの事情で様々な制約があり、前向きになれないという状況があります。自身の生活スタイルに合わせて、隙間時間にオンラインで参加できるようになると、業務効率化とともに、新たなPTA活動も始まります。
1000人規模でPTA活動を行っている流山市立小山小学校(千葉県)では、授業のサポートなどを掲示板機能で募集しています。役員だけがPTA活動を行うのではなく、できる人がボランティア感覚でPTA活動を行うのです。
杉並区立杉並第二小学校(東京都)でも、PTA活動に参加しやすい工夫をしています。当初は手作業で調整していたお手伝いのシフト表も、LINE WORKSに名前を記入する表と日付を設置しておき、エントリーしたい人が表の該当日に名前を入力することで効率化を図っています。
八王子市立松が谷中学校(東京都)のPTAでは部活動での熱中症発生を防ぐため、PTA予算でスポットクーラーを購入する案が挙がり、アンケート機能でPTAの意向を確認し、購入が決まると「スポットクーラー購入プロジェクト」のグループを設けて製品情報の交換などを行い迅速な購入につながっていました。PTAが使うLINE WORKSには教員も登録し、トークで意見交換や情報共有をしており、対面会議の代わりとして活用しています。
PTA組織により導入決定者は様々ですが保護者が使うツールとして学校や教員に了解を得る場合が多く、学校が導入をPTAに打診する場合もあります。特別プランは1000人まで無料ですので、まず役員で試し、学校を通して保護者全体に働きかけているようです。
日本の法令に従って管理・処理しており、保存データはすべて国内のデータセンターに保管され、国際認証を取得した高いレベルのセキュリティにより安全にサービスを提供しています。
2022年にオンライン開催したPTA運営効率化のヒントを紹介するセミナーのアーカイブ動画を配信中。LINE WORKSを活用した事例を視聴できる。視聴期限は3月31日(金)。▽詳細=
対象はNPO法人やPTA、地域自治会等。登録ユーザ最大1000人・50GBのストレージ容量を無料で提供。申込は特設サイトからのみ受け付け。▽特設サイト=
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年3月6日号掲載