文部科学省は2月、「校内通信ネットワーク環境整備等に関する調査」について取りまとめた。
それによると、前回調査と比較して同時利用による通信速度が向上(契約上の通信速度の理論値及び通信速度の実測)。通信ネットワーク環境の整備が進みつつある。調査は2022年9月時点。
センター集約型、直接接続型などのインターネットの接続形式については、直接接続型の学校が1万6628校から2万329校と増加した(3万2377校中)。
直接接続(理論値)の通信最大速度について「1Gbps以上」は471自治体から611自治体に増え5割を超えており、2Gbps以上はそのうち56校(回答数1212自治体)。
なお新規で調べたモバイル回線については通信最大速度「100Mbps以上」の学校が8割以上であった。
新規で集約接続(理論値)の通信最大速度についても調査。学校からセンター(ネットワークを集約する教育委員会等)における通信最大速度は「1Gbps以上」が約半数の232自治体(回答数472自治体)。
センターからISP(インターネットサービスプロバイダ)までの通信最大速度は前回調査より「1Gbps以上」の割合が253自治体から260自治体と増加している。このうち2Gbp以上は103自治体。
なお通知によると「どの形式が適切なのかは一概には言えない」とし、通信速度、接続にかかる費用、セキュリティ面等、様々な観点からのメリット・デメリットを踏まえた上で各自治体が判断することとしている。
SSO(シングルサインオン)についても初調査。SSOに対応可能なソフトウェア・コンテンツについて、学習支援ソフトウェア、AIドリル等反復・習得学習教材を導入している自治体が多い。一方で、画像・映像編集ソフト、情報教育関連ソフトを導入している自治体は少ない。
自治体等で発生した不具合事象のうち未解決のものは、「全校生徒が一斉に端末を利用するとネットワークに接続しにくくなる」「クラスで一斉にオンライン教材などを利用する際、一部の児童生徒が教材に接続できない状況が発生する」など、同時利用場面の発生が多いことから、アクセスが多いとされる朝8~9時における児童生徒端末の接続速度についても調査。
直接接続(固定回線)で児童生徒用端末のインターネットからのダウンロードの速度は、前回調査と比較して児童生徒数800人以下の学校では速度が向上。しかし801人以上の学校ではやや遅くなっている傾向(調査対象3400校)。
また、通信速度(ダウンロードの実測値)から1人当たり2Mbps(遠隔授業に必要とされる速度)の確保について50%以上利用できる割合が前回調査よりも若干増加。同様に集約接続でも若干増加傾向にあるものの、今後の改善や工夫が求められる。
文部科学省は2月3日、通信ネットワーク環境の評価(アセスメント)の実施を求める通知を発出している。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年3月6日号掲載