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教育ICT

1人1台端末環境を守り抜く~山田哲也・文部科学省初等中等教育局修学支援教材課長

2023年2月7日

■明らかに効果がある

山田哲也課長 文部科学省初等中等教育局修学支援・教材課

山田哲也課長
文部科学省初等中等教育局修学支援・教材課

GIGAスクール構想も活用段階に入って2年目を過ぎ、明らかに効果が出ている。まず、様々な支援を必要とする子供へのサポートが一層可能になった。例えば、特別支援や不登校、不登校傾向、外国人児童生徒や日本語指導、特定分野に特異な才能のある児童生徒等様々ある。遠隔授業も、距離に対する支援と考えることができる。これもICTがなければ実現できないことである。

次に、授業の質が明らかに変わった。ICTで子供の意見を一瞬で集められることは大きい。口頭ではなかなか発言しない子供がデジタルでは雄弁になる例も多い。また、端末を自由に持ち歩けるようになり、できることが増えた。例えば社会科見学で端末を持っていき、現地では写真を撮影し、その場で検索して調べ、インタビューを録画する等大人が行っているのと同じことが子供もできるようになった。

課題はある。地域間・学校間格差だ。ある程度はやむを得ないとしても、過剰な格差は特に義務教育においては好ましいことではない。

十分に取り組めていない自治体が出てくる理由として、人手不足があるだろう。ICTに限らず、様々な面で人手不足が生じており、その結果新しい取組であるICTがどうしても後回しになってしまうのだと思う。

そこで、十分に取り組めていない自治体を取り残さないためにも、「広域連携」により都道府県にリーダーシップを発揮して頂きたい。そのため文科省ではGIGAスクール運営支援センター整備事業を展開。これにより単独では実施が困難な自治体にも支援を届ける。スケールメリットも期待できる。協議会を設置し、学校DXアドバイザー等有識者も交えて議論し、全体で取り組もうという雰囲気づくりと実践につなげてほしい。

■通信ネットワークの増強を

首長の皆さまにお願いしたいことは、自治体間のICT格差解消の手立てを共に考えてほしいということ。GIGAスクール運営支援センター整備事業への積極的な参加も検討してほしい。

また、通信ネットワークの増強はとても重要。デジタル教科書・教材等の様々なコンテンツを多くの児童生徒が利用し、CBT調査も始まることから、扱うデータの量は増加の一途をたどっていく。これは教育分野に限らない。今後、あらゆる方面でデジタル化が進む。そこで自治体全体でネットワーク増強に取り組んでいただき、その重要な一要素として教育関係のネットワークをしっかり構築してほしい。

■予算確保に全力を尽くす

文科省としては、何としても11台端末環境を守り抜きたいと考えている。そのためには、すべての学校で日常的なICT活用を当たり前にすること、教員主導ではなく子供自ら使うようにしていくことが極めて重要である。そのための基盤として、文科省はICT環境整備に関する地方財政措置や補助金等の確保に全力を尽くす。なおICT環境整備に関する地方財政措置について、2024年度までは現行計画に基づく措置を継続していくと各自治体に通知した。教育に多くの予算を確保している自治体は子育てがしやすく、子育て世代が集まり、自治体全体が活性化する。そのような自治体を文科省は応援したい。国と自治体との共同構想としてGIGAスクール構想を前に進めていきたい。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年2月6日号掲載

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