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教育ICT

【第105回】ICTキャンパス 藤田医科大学「健診情報をスマホで閲覧 健康リテラシーを改善する」

2023年1月1日
連載

PHR基盤を構築次世代標準規格に対応

藤田医科大学(愛知県豊明市)4つの大学病院(藤田医科大学病院、藤田医科大学ばんたね病院、藤田医科大学七栗記念病院、藤田医科大学岡崎医療センター)を擁し、開院以来、尾張東部エリアの地域医療において重要な役割を果たしてきた。同学は医療の可能性をさらに広げるため、PHR基盤「Fujita Healthcare Platform(以下、本プラットフォーム)Amazon Web Services上に構築している。

PHR(Personal Health Record)とは、個人の健康に関する情報を1か所に集め、医療サービスを受ける利用者自身が、自らの過去の健康や医療に関するデータにスマートフォンなどからアクセスできる情報基盤のこと。「生涯型電子カルテ」とも呼べるもので、格納されているデータを用いて自身の健康増進や生活改善につなげることができる。

医療情報の次世代標準規格「HL7 FHIR(=Health Level 7 Fast Healthcare Interoperability Resources」にも対応。電子カルテには様々なベンダーが存在し、これまで互換性が不十分だった。そこで情報の記載方法を共通化し、互換性を持たせた新しい医療情報標準規格がHL7 FHIRだ。

自分の健康診断情報にスマホからアクセス

本プラットフォームの稼働開始は、20233月頃を予定。当初は同学の教職員・学生の健康診断データを取り込む。

同学医療情報システム部・小林敦行部長は「健診データを標準化されたHL7 FHIRに則って格納し、受診者が自分のスマホで閲覧できる仕組みを構築します。また、当院だけでなく、他のクリニックで健診を受けた人でも利用できるプラットフォームにしていきたいと思っています」と話す。

今後3~4年以内に、教職員や学生だけでなく、数十万人規模の利用者が本プラットフォームに加わることで、地域住民を中心に、多くの人たちが利用できるPHR基盤を確立していく構想だ。

産業横断のプラットフォーム連携も視野に入れる。「まだ構想段階ではありますが、健康に関連するデータを持つ様々な企業、例えば製薬会社や薬局、食品や外食産業、スポーツジム、バイオセンサーのメーカーなどとの連携を考えています」

スマートヘルスケアタウン構想を推進

スマートヘルスケアタウンモデル

スマートヘルスケアタウンモデル

同学は、地域包括ケアの新たな取組として「スマートヘルスケアタウン」プロジェクトを進めている。

健康診断を始め、食習慣や薬歴などのヘルスケアデータを格納する情報基盤を構築し、住民が日々利用するドラッグストアを健康サポート拠点として、誰もが気軽に自分の健康がモニターできる環境を構築する。同時に、健康に対するリテラシーの改善を通して、意識せずとも健康になれる社会を目指す。

本プロジェクトは、文部科学省・科学技術振興機構による2021年度「共創の場形成支援プログラム(COI―NEXT)」〈地域共創分野【育成型】〉に採択されている。前述のプラットフォームは、本プロジェクトにも適応させていく。将来的には、本プラットフォームとともに、電子カルテデータの臨床研究における利用をさらに使いやすくするための基盤構築も行っていきたい考えだ。

(蓬田修一)

教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載

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